研究課題/領域番号 |
22251004
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
柳澤 雅之 京都大学, 地域研究統合情報センター, 准教授 (80314269)
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研究分担者 |
竹田 晋也 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (90212026)
神崎 護 京都大学, 農学研究科, 准教授 (70183291)
畑 俊充 京都大学, 生存圏研究所, 講師 (10243099)
水野 広祐 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (30283659)
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キーワード | 森林 / 多面的機能 / 人為撹乱 / 持続性 / 東南アジア / 択伐林 / 包括的森林利用 |
研究概要 |
包括的森林利用を検討するために、本研究計画では二つの柱を立てた。一つが、森林の利用と保護とが一体化した包括的森林利用を実現しているいくつかの事例の詳細な定点調査を行うことであり、もう一つが、さまざまな事例を発掘することである。前者については、インドネシア・中カリマンタンで集中的な調査を行い、後者については、以下の調査地での検討を行った。 ・熱帯アジアの大都市周辺に、植民地期に形成された薪炭供給のためのマングローブ林(シュンドルボン(バングラデシュ)、エーヤワディー・デルタ(ミャンマー)、マタン(マレーシア)、サムットソンクラムおよびチャンタブリ(タイ))。 ・ミャンマーのラカインにあるマングローブ林 ・ミャンマー・バゴー山地のチーク林 ・タイ北部山地のお茶と森林の結合したミアンの森林 ・タイ北部山地の焼畑村における二次林利用 ・ベトナム北部Phu Tho省の人工造林 ・ジャワ全域の森林増加 ・西ジャワの焼畑システム(talun)。タルンはジャワ全土でみられるが、植民地期に中・西ジャワでは焼畑が厳しく禁止されたが、西ジャワでは現在でもsocial forestryの中で焼畑が許可されている。 ・シンガポール対岸のスマトラ沿岸部を中心にした木材の伐採・炭焼き・木材加工のシステムがあり、パンロン(panglong)と呼ばれる。 ・日本における木炭の多目的利用 ・ベトナム北部山地の森林利用。地元住民、地方政府、地方企業が一体となったPhu Tho省の森林利用システム。 ・ベトナム・ライチャウ省の中越国境沿いのHmong族の村における保護林の形成と、有用植物(thao qua)を利用した森林の維持管理システム。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の二つの柱のうち、現地カウンターパートとの協力関係から、詳細な事例研究がより進展し、もう一つの柱であるインベントリー作成がやや遅れているが、全体としては、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、インドネシア・中カリマンタンで定点調査では、質問票を用いた地元住民による森林利用の詳細な調査、衛星画像の解析と土地利用の履歴に関する調査、毎木調査データを用いた森林成長率のシミュレーションを予定している。また、事例の発掘に関する調査では、先述した候補地の検討を行うと同時に、より広域での事例の発掘も継続して行う。
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