研究課題
今年度、トゥルファン班では8月1日~8,月7日にかけて、荒川(正)・白須・高橋が吐魯番学研究院(博物館)において、「研究実施計画」に従って1975年~1989年に出土したトゥルファン文書の実見調査を行った。成果として、これまで研究史料として依拠してきた図版・録文本の修正版を提出することができた。併せて文書が出土した場となる古墓群の遺跡調査を行い、それぞれの墳墓の分布状況と、埋葬者が居住したオアシス都市との位置関係を確認した。この調査の成果として、出土文書の内容に反映される空間的な広がりを明確にするとともに、トゥルファンにおける日常空間と非日常空間の広がり方に一定の規則性が存在することを確認できた。ハラホト班では、8月11日~20日にかけて、荒川(正)・松井・舩田・荒川(慎)・赤木・山本・伊藤が、フフホトの内蒙古文物考古研究所に赴き、「計画」通り「ハラホト遺跡より新たに出土した諸言語資料」の調査を行った。今年は漢文・モンゴル文・西夏文の文書について、その一部を実見調査し、これまでの文書分析を進展させた。また海外共同協力者である内蒙古大学のフグジルド氏とハラホト文書の共同調査に関して、内蒙古大学において正式な協定書を作成した。このほか齊藤は、陰山南部に位置する唐代の遺跡を調査し、トルコ系遊牧民の動向の不明瞭な部分を明らかにした。敦煌班は、12月23日~30日にわたり、坂尻・松井・荒川(慎)・赤木・岩尾・佐藤が、「計画」通りに敦煌の莫高窟や楡林窟に残る銘文資料を調査した。新たな文字資料を発見するとともに、河西と中央アジアを繋ぐ敦煌オアシスの歴史的な意義を見通す手がかりを得た。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (10件) 図書 (8件)
Journal of Asian and African Studies
巻: 81 ページ: 147-305
弘前大学人文社会論叢、人文科学篇
巻: 24 ページ: 25-53
吐魯番學研究
巻: 2010-1 ページ: 79-81