研究課題
これまで西アジアにおける新石器時代が開始されて以降の集落の発展と社会の複雑化について、シリア北西部エル・ルージュ盆地、イラン南部アルサンジャン地区での現地調査に基づいて研究を進めてきました。本研究の最終年度に当たる2014年度の現地調査は、イラク・クルディスタン自治区スレイマニア州の北部ペシュダール平野に所在するカラート・サイド・アハマダン遺跡において発掘調査を実施し、先土器新石器時代及び土器新石器時代の集落の一部を調査することができました。その結果、ザグロス山脈北西部での新石器化のプロセスとその後の集落の発展に関する様々な資料を得、当地域の社会の複雑化に関する研究を進めることができました。また、イラン高原北東部に所在し、1970年代に発掘調査を行ったタペ・サンギ・チャハマック遺跡の整理研究を進め、イラン北東部の新石器化についての知見も深めました。これまでの5年間の調査研究において、レヴァント北部、ザグロス北西部、同南東部、そしてイラン高原北東部という4つの異なる地域での新石器化とその後の社会の発展に関する考古資料と様々な知見を得ることができ、それぞれの地域で異なる新石器化とその後の発展のプロセスがあることが明確になってきました。これまでのところ、最も早く新石器化が起こったと認められるのはレヴァント北部地域であり、ザグロス北西部の新石器化はほぼ同時期かやや遅れ、ザグロス南東部やイラン高原北東部の新石器化はさらに遅れること、その後の集落の大規模化と複雑化に関しても、やはりレヴァント北部が最も早くかつ急激にプロセスを進行させたと考えることができます。また各地域では、それぞれ異なる動植物の栽培家畜化が進行し、生業の様態や集落の形態も地域ごとに特徴があることが判明してきました。都市的集落の発生を考えるには、特にレヴァント北部に焦点を当てる必要があることが明確になってきました。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Al-Rafidan
巻: 36 ページ: 1-50
現代文明の基層としての古代西アジア文明Newsletter
巻: 4 ページ: 1-6
考古学が語る古代オリエント
巻: 2014年 ページ: 26-33
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