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2013 年度 実績報告書

中国における都市の生成―良渚遺跡群の学際的総合研究―

研究課題

研究課題/領域番号 22251010
応募区分海外学術
研究機関金沢大学

研究代表者

中村 慎一  金沢大学, その他部局等, 副学長 (80237403)

研究分担者 鈴木 三男  東北大学, 学術資源研究公開センター, 協力研究員 (80111483)
中村 俊夫  名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 教授 (10135387)
金原 正明  奈良教育大学, 教育学部, 教授 (10335466)
小柳 美樹  金沢大学, 国際文化資源学研究センター, 客員准教授 (40436671)
宇田津 徹朗  宮崎大学, 農学部, 教授 (00253807)
渡部 展也  中部大学, 人文学部, 准教授 (10365497)
研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2015-03-31
キーワード考古学 / 先史学 / 中国 / 良渚文化 / 良渚遺跡群 / 学際研究 / 国際研究者交流
研究概要

研究の主体となる海外調査について、当初の予定では、夏季、秋季、冬季の3回に分けて実施することとしていたが、作業効率を重視し、9月に集中して実施することとなった。それに先立ち、メールや電話連絡により中国側研究協力者と綿密な事前打合せを行った。
9月の調査は、研究代表者・研究分担者・連携研究者・研究協力者の計10名が延べ15日間にわたり訪中し、中国側共同研究者と合流のうえ現地調査を実施した。調査の主体を占めるのは良渚遺跡群であるが、関連遺跡出土品の調査なども併せて行った。良渚遺跡群に関する調査の具体的内容は、各種人工遺物の観察・実測・写真撮影、土壌サンプリングと花粉・珪藻・プラントオパール分析、土器付着炭化物・出土炭化種子等の放射性炭素年代測定、木器・木製品の樹種同定が主要なものであり、前年度とほぼ同様の内容であった。
莫角山遺跡周辺における何ヵ所かのトレンチ発掘により、莫角山本体の築造過程に関して、その年代を含め、より詳細な情報が得られつつある。また、莫角山の築造に際しては、その近くにまで「運河」を通し、資材の運搬を行っていたらしいことも判明した。
現地調査とは別に、日本国内においてCORONA衛星をはじめとする各種衛星画像を用いて良渚囲壁周辺の3Dデータの作成を行った。莫角山とそれを囲む囲壁をリアルに可視化する作業を進めているが、入手しうる標高データに精疎の差があり、微地形を完全に復元するまでには至っていない。
5カ年の研究期間も残り1年を残すだけとなったことを受け、研究全体のとりまとめと報告書作成の準備に着手する必要が生じた。そこで、12月には2名、3月には3名の中国側研究協力者を日本へ招聘し、研究代表者・研究分担者らとともに、これまでの研究成果の総括と報告書の内容に関する検討を実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

この2年間、莫角山遺跡周辺のトレンチ発掘とボーリング調査を集中的に実施したことで、地下の堆積状況を把握するとともに、放射性炭素年代測定試料を系統的に入手することができた。それにより、莫角山ならびに関連遺構の年代決定が大きく進展した。また、CORONA衛星をはじめとする各種衛星画像の解析により、発掘調査に頼ることの難しい大面積の古地形復元も一定程度可能となった。以上から、良渚遺跡群の変遷に関して、当初の予想を上回る情報を得ることができた。
一方、良渚遺跡群内では保存状態の良好な人骨・動物骨資料が豊富ではないことから、家畜動物骨あるいは人骨のDNA分析、アイソトープ分析等においては、これまで十分な成果を挙げられてはいないのが実状である。

今後の研究の推進方策

平成26年度が研究期間の最終年度となるため、研究全体の取りまとめと報告書の作成を着実に進めなければならない。予想以上に進展を遂げた分野をさらに進展させるとともに、研究の遅滞が見られる分野については補足の調査を実施するなどして、学問的に有意義な成果を最大限に引き出す努力と工夫を進めていく。
今回の共同研究の成果は、文明起源研究として世界的にも重要なものであると自負している。その成果を、日中両国ばかりでなく、世界へ向けて発信する方策を講ずる必要がある。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013

すべて 学会発表 (1件) 図書 (5件)

  • [学会発表] プラント・オパール中の炭素による生産遺構の年代決定法に関する研究(V)- 前処理方法(夾雑炭素の分解)の検討-2013

    • 著者名/発表者名
      宇田津徹朗,中村俊夫,田崎博之,外山秀一,杉山真二,松田隆二
    • 学会等名
      日本文化財科学会第30回大会
    • 発表場所
      弘前大学(青森県)
    • 年月日
      20130706-20130707
  • [図書] 「良渚囲壁集落と良渚遺跡群」飯島武次(編)『中華文明の考古学』2014

    • 著者名/発表者名
      中村慎一
    • 総ページ数
      486(2-11)
    • 出版者
      同成社
  • [図書] 「イネ利用の始まりから稲作文明の形成へ」中島経夫・槙林啓介(編)『水辺エコトーンにおける魚と人:稲作起源論への新しい方法』2014

    • 著者名/発表者名
      中村慎一
    • 総ページ数
      175(1-5)
    • 出版者
      ふくろう出版
  • [図書] 「大石サン考」飯島武次(編)『中華文明の考古学』2014

    • 著者名/発表者名
      小柳美樹
    • 総ページ数
      486(21-30)
    • 出版者
      同成社
  • [図書] 「中国新石器時代における稲作の展開-研究の到達点」中島経夫・槙林啓介(編)『水辺エコトーンにおける魚と人:稲作起源論への新しい方法』2014

    • 著者名/発表者名
      小柳美樹
    • 総ページ数
      175(6-12)
    • 出版者
      ふくろう出版
  • [図書] 「イネの細胞化石から水田稲作の歴史を探る」佐藤洋一郎・赤坂憲男(編)『フィールド科学の入口 イネの歴史を探る』2013

    • 著者名/発表者名
      宇田津徹朗
    • 総ページ数
      226(164-176)
    • 出版者
      玉川大学出 版

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公開日: 2015-05-28  

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