研究課題/領域番号 |
22251012
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
三尾 裕子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20195192)
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研究分担者 |
植野 弘子 東洋大学, 社会学部, 教授 (40183016)
上水流 久彦 県立広島大学, 地域連携センター, 講師 (50364104)
西村 一之 日本女子大学, 人間社会学部, 講師 (70328889)
遠藤 央 京都文教大学, 人間学部, 教授 (10211781)
飯高 伸五 高知県立大学, 文化学部, 講師 (10612567)
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キーワード | 歴史認識 / 植民地主義 / 脱植民地化 / 台湾 / 旧南洋群島 / 日本 / 文化人類学 / 歴史学 |
研究概要 |
今年度行った研究実績の概要は以下の通りである。 1 第1回研究会(7月)において、鳥居龍蔵研究を専門にされている天羽利夫氏から、鳥居の学術調査について、ご発表を頂いた。そのほか、メンバーによる研究発表以外に、今年度の共同調査の調査項目、注目点などについて、考え方の共有をはかった。 2 8月下旬に、ほぼ全員が揃ってパラオ共和国、ミクロネシア連邦のヤップ島に渡航し、現地の研究者などと意見交換をおこない、またメンバーが調査を行ってきた調査地を訪問して、現地における日本統治の概要を把握するとともに、その後の現地社会の変容、人々の日本認識などについて、調査を行った。 3 8月以降、それぞれのメンバーが各自のメインフィールドで、調査を行った。代表者の三尾は、台東、新竹(いずれも台湾)、分担者の植野は、主に台南で調査をおこなった。上水流は、台湾とパラオの比較研究のための資料収集、西村は台東に於いて漢族とアミ族を中心に日本認識について調査を行った。遠藤や飯高は、主にパラオにおいて、また石垣は台湾原住民地域に於いて、現地調査を行った。松金は、台湾の中央研究院、国史館台湾文献館などに於いて南洋・台湾関係の歴史文書の調査をおこなった。そのほかの連携研究者(笠原政治・宮岡真央子)、研究協力者(今泉裕美子、三田牧、黒崎岳大、藤野陽平、林虹瑛)も、文献資料収集や、台湾や旧南洋群島における現地調査に参加した。 4 10月、3,月に国内研究会を開催し、外部ゲストによる研究発表、メンバーによる調査結果の報告を行った。また、台湾と旧南洋群島の両方のジェネラル・サーベイを経て、今後具体的に如何に両地域を比較研究し、植民地主義の人類学た新たな視座を切り開くかについて、ディスカッションを行った。台湾と旧南洋群島では、同じように日本的なるものが現在も見ることができるとは言っても、日本の意味づけが大きく異なることが共通理解となったが、その因果関係をどのように明らかにするのかが今後の課題といえよう.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度、2年度目において、メンバーほぼ全員が参加して、台湾及び、舊南洋群島のヤップ、パラオの共同調査を行った。これにより、それぞれの地域において、宗主国であった日本がいかなる支配を行い、また被支配者が、それをどのように受け止めたのか、また戦後に新たな外来政権がやってきた中で、日本による統治を受けた経験がそのように相対化されるのか、あるいは忘却されていくのかについて、共通の理解を得ることができた。 今後は、共同成果の成果をいかしつつ、各自のフィールドでの調査をさらに深めていくことが可能であろう。
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今後の研究の推進方策 |
3年目以降も、当初の計画通り、調査研究を行う。具体的には、3年目は、各自のフィールドにおいて、調査データを集中的に収集することを主眼とする。特に、現在の台湾或いは舊南洋群島における文化の構築過程において、日本がどのような作用を及ぼしているのかいないのかという点を明らかにしていくことを目的とする。第2次世界大戦以後の政治環境の変化が、「日本」認識、「日本」に対する評価に大きな影響を与えていることが明らかになりつつあるので、今後は、その点に注意を払いながら、調査を進めて行くことになろう。4年目は最終年度にあたるので、取りまとめのシンポジウムを行う予定である。
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