研究課題/領域番号 |
22251013
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
稲村 哲也 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (00203208)
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研究分担者 |
藤井 純夫 金沢大学, 文学部, 教授 (90238527)
川本 芳 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (00177750)
大山 修一 京都大学, 大学院・アジアアフリカ地域研究研究科, 准教授 (00322347)
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キーワード | アンデス / 牧畜 / アルパカ / リャマ / ビクーニャ / 追い込み猟 / DNA / 家畜化 |
研究概要 |
川本芳(研究分担者)、稲村哲也(研究代表者)、本江昭夫(連携研究者)、鳥塚あゆち(研究協力者)は、2011年8月に、ラクダ科家畜の起源と交雑状況の遺伝学的調査のため、ペルー・アヤクチョ県パンパ・ガレーラス国立自然保護区(標高4000m)とクスコ県ワイリャワイリャ村(標高4500m)で観察と試料採取を行った。ミトコンドリアDNAハプロタイプ、常染色体マイクロサテライト10座位の多型を分析し、動物間の遺伝子多様性の違い、交雑と多系起源の証拠を得た。大山修一(研究分担者)は、8月にパンパ・ガレーラスにおいて、ビクーニャ66頭に耳標をとりつけ、雌雄のペアリング、繁殖行動を観察した。ビクーニャはアルパカの祖先種であり、ビクーニャの生態は、家畜化への道筋を推察するデータを提供する。苅谷愛彦(研究連携者)は、パンパ・ガレーラスの地形・地質を調査し、同地に氷河・周氷河地形が広く分布すること、同地西部一帯に高原を侵食する大規模地すべりを確認した。鶴見英成(連携研究者)は文明の形成期(紀元前3000~50年頃)におけるリャマのキャラバン交易を課題とし、形成期に広域流通した黒曜石の産地を擁し牧畜の伝統を持つアレキパ県コタワシ谷一帯を、鳥塚あゆち・若林大我(研究協力者)と7月に踏査し、先行研究で形成期と比定された遺跡に確かな根拠がないこと、形成期遺跡を持つ近郊のマヘス谷との比較が有効であるとの視座を得た。藤井純夫(研究分担者)は西アジア先史時代の「追い込み猟遺構」の調査データを収集・分析し、その分布域が従来考えられていたよりも広く、シリアの北部、シナイ半島、サウジアラビア中部にまで及ぶことが判明した。若林大我、鳥塚あゆちは、7月上旬にアレキパ県ラ・ウニオン郡ブイカ行政区内の牧畜村落の踏査を行い、アルパカ毛の販売状況、飼育形態の変化、隣接するクスコ県チュンビビルカス郡とエスピナル郡との関わり等を調査し、両県の牧民社会を比較した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラクダ科動物の牧畜、家畜化等に関する生態学、遺伝学、考古学、地理学、文化人類学による学際的な研究のための現地調査が精力的に推進された。ただし、その成果については分析の過程のものもあり、研究成果の刊行については、今後に期待する部分が大きい。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、研究の目的に沿って、より緻密に計画的に現地調査を推進する。忌た、分析を進め、研究成果の蓄積、発信により精力を注ぐ。アンデスとの比較のため、ヒマラヤ・チベット等の山岳環境における牧畜についての研究も行い、比較検討する。
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