研究課題/領域番号 |
22252003
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高原 明生 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (80240993)
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研究分担者 |
武田 康裕 防衛大学校, 人文社会科学群, 教授 (10545817)
園田 茂人 東京大学, 大学院・情報学環, 教授 (10206683)
厳 善平 同志社大学, 大学院・グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (00248056)
唐 亮 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (10257743)
青山 瑠妙 早稲田大学, 教育総合科学学術院, 教授 (20329022)
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キーワード | 政治学 / 現代中国研究 / 地域研究 / 政治過程 |
研究概要 |
2011年度も、世界的に有名になった広東省烏かん(土編に欠)村における農民の反乱と村民選挙の実施や、所得再配分を表層的には強調した薄煕来・重慶市等委員会書記の解任といったように、「調和社会」の構築をめぐる中国政治はダイナミックな展開を示した。他方、アラブ世界ではインターネットなど新メディアを有力な手段として政治変動が起きたが、中国ではそうはならなかった。複雑な現実を解き明かすべく、各メンバーはそれぞれ、頻繁に相互に連絡を取り合いながら、現地調査を含む実証研究を実直に実施し、すでに数多くの論文や研究報告の形でその成果を発表し始めている。 たとえば、社会の側における動態に関しては、園田が天津市における調査をもとに中国語で論考を発表したほか、定期的に厳が『週刊東洋経済』に、阿古が月刊『東亜』に寄稿して、中国社会の動向に関する鋭い分析を一般社会に向けレポートし続けている。 また、共産党政権側の対応については、中岡や加茂の人民代表大会選挙に関する論考や報告のほか、三宅が行財政改革についての論考を英語で発表した。さらに、内政と外交の連動についての目配りは青山と唐が行い、いわゆる中国モデルの有効性やアジア政策へのインパクトについて論じた。 さらには、他の東アジア諸国との比較に取り組んだ武田は、ミャンマーとカンボジアにおける国民統合と民主主義についての論考を著した。 2011年度はわれわれのプロジェクトの2年目にあたり、それにしては大きな成果が上がったように思う。しかし、残念なのは、共産党の政治統制が次第に強化される傾向にあり、大規模なアンケート調査が実施しにくくなっていることである。2012年度は最終年度であるが、引き続きねばり強くその可能性を追求していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要において記したとおり、すでに研究の進展に基づく果実が論考や報告の形で多々産出されている。しかし、大規模なアンケート調査を実施するにはいたっていないため。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年は最終年度にあたり、各員の研究成果を揃え、まとめることに意を払う必要がある。夏休み中に第一稿を提出し、出版助成の申請を行う計画である。そのペーパーを基に、学会の研究大会や、例年通りの国際ワークショップにおいて報告を行い、コメントをもらうことが重要だと考える。 想定しうる困難は、やはり大規模アンケート調査を実施することの難しさである。どうしても無理であれば、文献調査やヒアリングによって補うほかはない。
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