研究課題
23年度では、22年度の調査・観測の問題点をふまえて、9月に実施したフィールドワークでは地質調査・試料採取に重点をおいた。実施項目およびその詳細は以下のとおりである。1.ロシア側の協力体制の維持・強化:8月後半にカムチャッカにおいて日露米の沈み込み帯の諸現象に関するワークショップが行われ、中川・高橋は実行委員会のメンバーとして参加した。また研究分担者や協力者も参加し、地球物理学および地質学的研究成果や研究計画についてロシア側と活発な討議を行い、関係者全体の問題意識の共有ができた。2.地球物理学的観測に関しては本年度から本格的な観測を開始した。さらに夏には傾斜計および地震計の保守を行った。ただし23年度では噴火活動は低調であり、良質なデータを豊富には得ることはできなかった。3.本年度では標高3000m以下の地点での地質調査を実施し、噴火年代の明らかな噴出物に関しては組織的な試料採取を実施した。そして、北西山麓の一部の溶岩流を除き、最近数百年間の山麓火口からの噴出物に関して試料採取は終了した。さらに山頂火口からの噴出物の採取も一部については実施し、次年度からの本格的調査のための予察的調査を行った。4.噴出物の物質科学的解析のための準備を行った。特に同位体比測定のための試料処理の変更を行うので、それに伴うルーチンを検討した。5.11月には前年度に震災のために実施できなかったロシア人研究者を日本に招聘し、今年度の研究成果の整理と次年度の研究計画の打ち合わせ、および必要なロシア政府への許可申請の委託を行った。
2: おおむね順調に進展している
設置した傾斜計は順調に稼働しており、冬季にも概ねデータを得られることが確認できた。ただし22年度では活発であった噴火活動が、23年度では低調になったことが予想外であった。地質学的・物質科学的研究においては試料採取は順調に進んでいる。
次年度では標高4000mを超える山頂部での地質調査を実施する予定であり、高地ゆえの困難さを予想している。そのための綿密な準備を行う必要と、調査メンバーの厳選が必要と考えている。研究計画の変更は必要ない。
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