研究課題
25年度はこれまで研究対象としていたクリチェフスコイ火山と、隣接するトルバチェク火山が噴火活動中であり貴重なデータとサンプルが収集できた。まず地球物理学的観測としては、ロシア側の地震観測点に設置した傾斜計、およびロシア側既設の地震計・GPSのバッテリー交換等の保守を行い、観測を継続するとともに、ロシア側データの収集を行った。地質調査および試料採取では、特に山頂部の調査に重点をおき、山頂火口周辺から噴火直後の噴出物を採取した。また噴火年代既知のサンプルの追加収集および予察的にトルバチェク火山の調査も行った。観測データの解析により、ストロンボリ式噴火活動時に特徴的な超長周期微動を始めて観測した。これにより火道内のマグマの脱ガスプロセスとそれに関連した噴火プロセスを議論した。これは類似の噴火する火山で普遍的におきる現象と考えられた。物質科学的解析では特に過去3000年間の噴出物について200以上の試料について全岩化学組成を求めた。その結果、全てSiO2<55%の玄武岩質マグマが活動していること、またK2O含有量の異なるlow-Kとhigh-Kの2タイプのマグマが並行して活動していることが判明した。さらに3000年前にはlow-Kタイプが卓越しているが、噴火年代が新しくなるほどhigh-Kの比率が増加し、過去100年間の活動では1937年を除き、全てhigh-Kタイプが活動していることが明らかになった。また2013年噴出物は、その直前の2010年噴出物と化学組成が明瞭に異なっており3年足らずの静穏期を挟んで、マグマ系が更新されたと推定できる。過去100年間の鏡下観察によるとそれぞれの噴出物ではマグマ混合の証拠が見出されたが、その端成分はともに玄武岩質マグマであると推定された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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