研究課題
基盤研究(A)
地球大気の高度約60km-150kmに位置する中間圏・熱圏下部(Mesosphere-Lower Thermosphere:MLT)は、温暖化等の地表付近からの影響と同時に、太陽活動による変動も現れる興味深い遷移領域である。MLT領域における風速を長期間連続観測するには、流星レーダーおよび中波帯(MF)レーダーが適している。赤道域のMLT領域は観測が乏しく未解明であったが、我々は1990年代にインドネシアにレーダーを建設し、長期変動の観測を開始した。近年、インドネシアを中心に、インド、中国から太平洋域に約20台のレーダーが設置され、国際観測ネットワークが構成された。平成22年度は、MLTレーダー観測ネットワークを補完するために、情報通信研究機構(NICT)と共同で流星レーダーをインドネシアのビアク島に設置することにした。インドネシアでの協力機関である航空宇宙庁(LAPAN)を含めた3者間の共同研究契約を交換し、現地調査に基づきLAPANのビアク観測所にレーダー建設用地を確保した。一方、過去20年間に蓄積された観測結果を含めてレーダーデータベースを整備しつつある。これを用いて、MLT高度の力学過程を支配する大気波動(大気重力波、潮汐波等)の長期変動特性をデータ解析した。その結果、大気潮汐波の高調波である8時間周期変動が有意な震幅を持ち、特徴的な緯度・季節変化を示すことが分かった。また、MLT高度における短周期(20-120分)の大気重力波の風速振幅と下層大気の積雲対流強度とを比較したところ、日週・季節・年々変動に明らかな相関があり、波動励起に積雲対流が大きく寄与していることが分かった。これらの研究成果を3件の論文として国際誌に公表した。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (15件)
J.Geophys.Res.
巻: VOL.116 ページ: doi:10.1029/2010JD014529
Annales Geophysicae
巻: (in press)
巻: Vol,115 ページ: doi:10.1029/2008JD011609
Journal of Atmospheric and Solar-Terrestrial Physics
ページ: doi:10.1016/j.jastp.2010.12.010