研究分担者 |
伊藤 孝 茨城大学, 教育学部, 准教授 (10272098)
池原 実 高知大学, 自然科学系, 准教授 (90335919)
山口 耕生 東邦大学, 理学部, 准教授 (00359209)
尾上 哲治 鹿児島大学, 理工学研究科, 助教 (60404472)
堀江 憲路 国立極地研究所, 大学共同利用, 研究員 (00571093)
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研究概要 |
本研究は32億年前の海底堆積物をターゲットにしており,22年度は1.アフリカバーバートン帯のフィクツリー層層序調査,2.西オーストラリア,ピルバラ海岸グリーンストーン帯,デキソンアイランド層,クリバービル層において調査および掘削準備を行った.3.2007年に行ったDXCLの3本の掘削コアについて詳細な化学分析,硫黄同位体比の測定を行った.今まで風化が著しく,白色-小豆色の泥岩はすべて黒色頁岩であり,炭素濃度は著しく高い,同位体的には軽い(28‰)のシアノバクテリアの堆積したものであることが明らかになってきた.このシアノバクテリアの影響により,酸素濃度が上昇しその上部には縞状鉄鉱層が沈殿することになる.これは地層の堆積場が浅くなるか,もしくは酸素濃度が高くなり酸化的海が下に下がって来たことを示している可能性がある 1.フィクツリー層では150mの連続層について,詳細な記載および帯磁率測定を行い,帯磁率上昇部はブーディンを形成する初期続成部分でマグネタイト化が起こっていることが明らかになった.ICDP掘削についても,2011年にサンプリングパーティーが行われる事になっている 2.DXCL2掘削においては,掘削地の選定,オーストラリアとの業者・地質調査所との連携を確認し,2011年10月に掘削開始することになっている 3.DXCLについて,コアの詳細な観察および分析が行われ,特に硫黄同位体が非常に重い値を持つことが明らかになった.このことは,32億年前の海底は嫌気的であるが硫酸還元菌の活動が活発であり,海水中に硫酸が豊富にあったこと,つまり酸化的状態の大気があった可能性を示唆している 今後,DXCL2では,DXCLよりも上位の,黒色頁岩層から縞状鉄鉱層へ移り変わる部分の掘削を予定しており,酸化鉄沈殿作用がどのような順序で,またどのような生物活動の影響を受けて行われていくかを明らかにしていく
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