研究課題/領域番号 |
22253008
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
清川 昌一 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50335999)
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研究分担者 |
伊藤 孝 茨城大学, 教育学部, 教授 (10272098)
池原 実 高知大学, 自然科学系, 准教授 (90335919)
山口 耕生 東邦大学, 理学部, 准教授 (00359209)
尾上 哲治 鹿児島大学, 理工学研究科, 助教 (60404472)
菅沼 悠介 国立極地研究所, 地圏研究グループ, 助教 (70431898)
堀江 憲路 国立極地研究所, 地圏研究グループ, 研究員 (00571093)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 太古代 / 原生代 / 縞状鉄鉱層 / 黒色頁岩 / 熱水系 / ピルバラ / バーバートン / ベリミアン |
研究概要 |
本研究は32-30億年前の太古代中期海底堆積物をターゲットにしており,24年度は1.アフリカバーバートン帯のフィクツリー層層序調査,2.西オーストラリア,ピルバラ海岸グリーンストーン帯,クリバービル層において縞状鉄鉱層の掘削現場の側方層序比較.3.2007/2011年に行ったDXCLの4本の掘削コアについて詳細な化学分析,硫黄同位体比の測定,4,ガーナ22億年前のベリミアングリーンストーン帯の調査を行った.アフリカバーバートン帯(フィグツリー層)とピルバラを比較することで広域な一般的な鉄沈殿物の堆積作用を明らかにする. 鉄沈殿作用時の表層環境(酸化的or還元的,温度状態)を明らかにすることが需要になる. 1. フィクツリー層層序調査では,1昨年のコマチセクションに関して,より詳細な記載・分析を行った.酸化鉄層の上方への増加がみられ,黒色頁岩から上位にむかって酸化鉄の量が徐々に増え,炭素同位体の軽くなるシグナルが見えた. 2. DXCL1,2として31億年前のクリバービル層中の掘削コアの炭素・硫黄の化学分析を行い,炭素はほとんど変化せず,同位体はプラスに非常に重い値をしめした.特に,硫黄同位体は,初期に形成したものは分別が大きく,とくに+20‰を超える試料が多く出てきた.ナノシムス分析でも数ミクロンの幅で変動が見られた. 3. ピルバラ,クリバービル海岸での側方変化は,約100mぐらいで地層の層厚が変化するもので,ウエーブベースよりは深いが,側方変化が変動する比較的浅海部分で鉄鉱層は沈殿していると考えられる. 4. ベリミアングリーンストーン帯では,ケープスリーポイントの海岸線ルートマップおよびサンプリングを行い,地層に切れ目がすくなく連続していることが明らかになった.島弧的な火山弧の堆積物が付加していると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
目標の掘削がうまくいったが,コア半割および分析機器の故障により当初予定していた分析結果がまだ出ていない.1)半割に時間がかかる:半割はオーストラリアの地質調査所にて行われたが,岩石カッターが古くて切れず,また半割を細切れで行ったために,後の処理に非常に時間がかかった.2)連続分析の為にコアセンターにてタットスキャンを使用しているが,これは1週間に1mほどしかできないため,時間がかかっている.3)炭素・硫黄の同位体分析はヘリウムガスの欠如の為に,日本中の分析機器が使えておらず,試料を作ってはいるものの測定されていない.4)縞状鉄鉱層の前後で,シデライト地層が多く露出してきており,初期続成による影響の可能性が高いが,その考察を現在進行系出おこなっている.
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今後の研究の推進方策 |
コア試料がトータル400mに達しており,その試料の精度向上の為にすべての作業で時間がかかっている.学生ともども集中して試料処理をしていく予定である.ヘリウムガスを使わないナノシムスを使い硫黄同位体の変動を,試料の表面観察との対比をしながら明らかにしていく.現在掘削層序についての成果を報告する準備を行っている.その上で記載はほぼ完成し,今後より詳細な薄片観察による記載を行っていく.
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