研究課題/領域番号 |
22254003
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 財団法人国際高等研究所 |
研究代表者 |
谷本 親伯 (財)国際高等研究所, チーフリサーチフェロー (10109027)
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研究分担者 |
小田 和広 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00185597)
小泉 圭吾 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10362667)
尾池 和夫 (財)国際高等研究所, 所長 (40027248)
岩崎 好規 一般財団法人地域地盤環境研究所, 専務理事 (80450899)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 石造遺跡 / 塩害 / 断層 / 水分 / 比抵抗 / 地震 / 莫高窟 / 保存科学 |
研究概要 |
中国敦煌莫高窟は短期・長期的な自然作用により,壁画や石窟自体が損傷を受けている。壁画被害の主要因である塩類風化は,降雨,洪水の影響とは別に,地盤内部の水分移動によって生じる可能性を考慮すべきであること,また,保存を考える上で,壁画のみならず,石窟を構成する崖および周辺地盤の構造的安定性をも合わせて評価する必要があることを課題とし,本研究を遂行した。以下にその成果を示す。 崖上ボーリング孔による莫高窟背後地盤の比抵抗探査,RI検層,室内実験および数値解析により,莫高窟崖上から,石窟の位置する深度50m付近の水分と塩量の関係を求めたところ,水分飽和度は55%~60%,土粒子の単位体積当たりの塩量は最大16.7×10-3g,塩分濃度が25.0%となり,相対的に多くの塩を含んだ地層であることが確認された。これを基に下層に位置する108窟西壁の塩量を推定したところ,0.756×10-3g~3.14×10-3gと,地点ごとのばらつきはあるものの,水平深度に関係なく塩量は概ね一定に分布していることがわかった。また,壁面背後の水蒸気の移動と塩の潮解現象との関連性を示唆する新たな知見として,108窟西壁で季節により低比抵抗帯と高比抵抗帯の境界層深度が変化するという現象が捉えられた。 本調査研究から,敦煌莫高窟の位置する三危山西端では,2本の断層帯が交差し,少なくとも1本は活断層とみなされる。地震による敦煌地域文化財の被る被害を予測し,リスクを最小限に留める研究も必要と考え,平成23年度より調査研究(現地調査5回)に着手した。蘭州地震研究所とも研究交流協定を締結し,国際共同プロジェクトとして推進した。平成24年6月に2組の自記録地震計(万点計)を洞窟内に設置し,平成25年3月まで継続して測定を行った。記録装置は十分な精度を有すること,また,振動伝播経路・地盤条件・振動特性について貴重な知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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