研究課題
本研究は、地震によるリスクから文化遺産建築を保護することを最終目的に、a)2009年にイタリアで発生した地震により被害を受けた文化遺産建築の地震被害調査(構造調査、材料調査、振動調査)の実施、b)被害状況と応急処置方法の系統的整理、c)1970年代以降に文化遺産建築に対して行われたRC補強の効果の検証、d)関連する文化遺産建築の調査、e)補強前、補強工事中の構造的安定性と補強後の補強効果を検証するために設置したモニタリングシステムの結果の考察、および関連する文化遺産建築へのモニタリングシステムの設置、f)劣化現況調査と採取サンプルの分析、g)構造解析モデルの設定、構造解析による構造特性、振動特性の把握と分析、に関する海外学術調査を実施したものである。2012年に地震を受けたエミリアロマーニャの文化遺産建築の被害調査を実施し、被害状況と応急処置方法を系統的に整理するとともに、以下の研究成果が得られた。1.常時微動計測により同定された動特性パラメーターにより、地盤を含むGhirlandina塔(モデナ市、世界遺産)の構造解析モデルを修正した。2013年1月25日に発生した地震の応答解析結果は、モニタリング結果と一致してモデルの妥当性が検証されたため、今後耐震性能の評価を行う予定である。2.市民の塔のモニタリング結果より、塔が市庁舎側に倒れ固有振動数が変化したことが確認された。また、飛行船格納庫のモニタリング結果より、改修工事後においても大梁のひび割れが進行していることが明らかとなった。3.ヴェネチア(ブラーノ島)の採取サンプルの分析により、析出塩の種類が海からの距離により異なることが確認された。4.関連する文化遺産建築として、ブータンの寺院の解析、国内におけるみなとの近代化遺産である灯台の実験と解析を実施して構造特性を明らかにするとともに、損傷同定法に関する研究を実施した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proceedings of the International Conference on Preservation, Maintenance and Rehabilitation of Historical Buildings and Structures
巻: 1 ページ: 303-311
コンクリート工学年次論文報告集
巻: 36 ページ: 印刷中