平成17年度から21年度にかけて、阮朝王宮内の隆徳殿を、わが国における木造建築の修復技術および方法を基準として、修復した。その過程において、勤政殿再建のための技術的データを収集することができた。本研究では、昭敬殿の復原工事を通して、ヴィエトナム建築の再生技術の検討を行うことによって、ヴィエトナム技術者に木造建築の日本的復原技術の移転を試みようとするものである。 平成22年度は、まず6・7月に昭敬殿の復原計画書を策定した。その内容は、(1)昭敬殿の建造物概要(2)復原目的および方法(3)現状調査(4)復原考察および方針(5)復原工事工程(6)復原工事予算(7)復原設計図によって構成されている。そして8月22日にフエ遺跡保存センター(HMCC)と「昭敬殿復原プロジェクト合意書(AGREEMENT Cooperation for the Reconstruction Project of the Chieu Kinh TemPle in the Thai Mieu Area)」に調印した。 平成22年8月15日-27日に第1次調査が行われ、(1)工事監理事務所を西方向に7m移動した。(2)昭敬殿の素屋根および南側・西側部材格納小屋を建設した。 平成23年2月26日-3月8日に第2次調査が行われ、(1)隆徳殿の実物大構造実験を行った。(2)隆徳殿の正面建具を建て込んだ。(3)素屋根の南側・西側部材格納小屋の屋根を連結した。(4)昭敬殿の基壇の発掘調査を行った。 HMCCが申請した、昭敬殿復原工事の許可(ヴィエトナム政府文化情報省)が遅れたため、平成23年5月29日に木材調達委託契約を締結し、柱・ケオ・頭貫・飛貫の木材15.281m^3を購入した。
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