研究課題/領域番号 |
22254007
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | ものつくり大学 |
研究代表者 |
白井 裕泰 ものつくり大学, 技能工芸学部, 教授 (40258926)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 阮朝王宮 / 昭敬殿 / 復原計画 / 国際協力 / ヴィエトナム / フエ / 太廟 / 隆徳殿 |
研究概要 |
平成24年度に実施した研究として、第5次・第6次調査および、第3~5次臨時調査が行われた。 第5次調査は、8月16日から9月12日まで行われ、その内容は、①昭敬殿の木材場の調達②太祖廟の実測調査などであった。現状太祖廟の平面計画は、梁行身舎柱間8.5越尺、庇柱間7.4越尺、中央柱間7.5越尺と考えられる。柱径は、実測値を元に計画寸法を推定すると、身舎柱0.85越尺、庇柱0.7越尺、裳階柱0.6越尺、下屋柱0.5越尺と考えられる。断面寸法は、身舎柱高さ=身舎柱間+庇柱間、庇柱高さ=庇柱間×√2、裳階柱高さ=庇柱間というように、梁行柱間を基準に決定されていると考えられる。 第6次調査は、2013年2月26日から3月13日まで行われ、その内容は、①柱・ケオの加工②世祖廟の実測調査などであった。世祖廟の計画寸法は、基準柱間10越尺、庇柱間・裳階柱間8.3越尺と考えられる。柱径は、正殿身舎柱1.0越尺、前殿身舎・庇柱0.95越尺、裳階柱0.9越尺と考えられる。断面寸法は、正殿身舎柱高さ19.69越尺、庇柱高さ15越尺、裳階柱高さ8.8越尺、前殿身舎柱高さ15.6越尺である。正殿身舎柱高さは身舎外から反対側庇柱外までの寸法、正殿庇柱高さは身舎外々の延べの寸法、正殿裳階柱高さは庇柱心から裳階柱外までの寸法であることがわかった。 また、フエの宮殿建築と、フエ・ハノイおよびホーチミンの建築(寺・亭・祀・廟)を比較するため、第3次臨時調査を7月4日から8日まで、第4次臨時調査を9月9日から12日まで、第5次臨時調査を2013年3月21日から24日まで行い、基礎的な資料を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成21年度交付申請書によると、平成24年度の「昭敬殿復原計画」(平成24年8・9月、翌年2・3月)は、1)大梁・飛貫・頭貫・母屋桁の加工監理 2)木材料(垂木・鼻隠し板・欄間)の購入 3)家具調査となっている。さらに、昨年度未着手であった柱・ケオの加工および大梁・飛貫・頭貫・母屋桁の購入がある。 現在は、柱・ケオのなど木材の加工を進めている。材料の購入も鼻隠し板・欄間を残すのみとなった。家具調査は未着手であるが、平成25年度には予定通り組立工事が始まる見込みである。したがって本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、今後昭敬殿の木工事を開始する予定であるが、平成23年1月にHMCCの所長が交代し、さらにHMCCの全体予算が削減され、ベトナム側の昭敬殿復原プロジェクトへの補助金助成が困難になったことで、今後工事予算の不足が懸念された。本研究の補助金で木工事の完成までは見通しが付いているが、昭敬殿完成までの見通しは立っていなかった。 しかしながら、ベトナム政府は平成22年度に太廟区全体の整備に着手する決定をしていて、われわれに対して太廟区整備プロジェクトに参加を要請している。これを契機に、平成24年8月にHMCCの新所長との間で昭敬殿の復原プロジェクトの支援および、太祖廟復原プロジェクトの共同の取組が合意された。昭敬殿の復原プロジェクトに対するベトナム側の財政支援が可能になった。 また、我々は、太廟区整備プロジェクトに参加するために、科研費基盤研究(S)の申請を検討したい。
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