研究課題/領域番号 |
22254007
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | ものつくり大学 |
研究代表者 |
白井 裕泰 ものつくり大学, 技能工芸学部, 教授 (40258926)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 昭敬殿 / 復原計画 / ヴィエトナム / フエ / 阮朝王宮 / 太廟区 / 文化遺産 / 国際協力 |
研究概要 |
平成25年度に実施した研究として、第7次・8次調査および、第6~8次臨時調査が行われた。第7次調査は、8月16日~30日まで行われ、その内容は、①昭敬殿軸部組立、②世祖廟の実測調査などであった。昭敬殿の部材加工は6月までに完了し、第6次臨時調査(5月21~31日)で確認をした。軸部組立は、6月から開始され、第7次調査期間中に、柱・ケオ・大梁・大貫・頭貫・飛貫が組立てられた。引き続き母屋受け・母屋桁が取り付けられ、第7次臨時調査期間中(9月11日~14日)の9月12日に上棟式が行われた。その後垂木・鼻隠し板が取り付けられ、12月末に木工事が完了した。第8次臨時調査を12月22日~26日に行い、木工事の完了を確認した。木工事の完了によって、隆徳殿で明らかになった阮朝初期の建築技法(柱の伸び・転び、軒反り)に基づいて昭敬殿を復原することができた。第8次調査は、2月24日~3月4日まで行われ、その内容は、①世祖廟の実測補充調査などであった。世祖廟の実測調査を踏まえて、世祖廟の寸法計画および太祖廟の復原研究を行った。また2013年度日本建築学会大会学術梗概集(pp.593-598,2013.9)に「昭敬殿基壇の修理について 阮朝・太廟・昭敬殿の復原計画(その8)」「現状太祖廟の寸法計画について 阮朝・太廟・昭敬殿の復原計画(その9)」「創建太祖廟の平面計画について 阮朝・太廟・昭敬殿の復原計画(その10)」、日本建築学会計画系論文集(№696,pp.517-524,2014.2)に「阮朝フエ王宮における隆徳殿の番付について-隆徳殿の建築技法その2」を発表した。さらに2014年3月『阮朝・太廟・昭敬殿復原計画 ヴィエトナムの文化遺産に関する国際協力-2013年度活動報告-』をまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成21年度交付申請書によると、平成25年度の「昭敬殿復原計画」(平成25年8・9月、翌年2・3月)は、1)垂木・鼻隠し板・欄間の加工監理、2)組立工事の監理、3)木材料(その他造作材・家具)の購入・加工、4)家具の復原工事監理がある。 平成25年度は、家具に関しては未着手ではあるが、ケオ・貫・桁の加工を終えたのち組立を始め、9月に上棟を行い、12月に木工事を完了した。また、平成25年3月、8月および平成26年2月に世祖廟の実測調査を行った。寸法計画を考察し、その考察を踏まえて、太祖廟の復原研究を行った。 現在は、昭敬殿の壁および屋根の工事を進めており、平成26年度には予定通り復原工事を完了する見込みである。 したがって本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、昭敬殿の復原工事を行う予定であったが、平成23年1月にHMCCの所長が交代し、さらに、HMCCの全体予算が削減され、ベトナム側の昭敬殿復原プロジェクトへの財政支出が一時的に困難になったことで、復原工事予算の不足が懸念された。本研究の補助金で木工事の完成までは見通しが付いていたが、昭敬殿完成までの見通しは立っていなかった。しかしながら、ベトナム政府は平成22年度に太廟区全体の整備に着手する決定をしていて、われわれに対して太廟区整備プロジェクトへの参加を要請していた。これを契機に、平成24年8月にHMCCの新所長ファン・タン・ハイとの間で昭敬殿の復原プロジェクトの支援および、太祖廟復原プロジェクトの共同取組が合意された。その結果、昭敬殿の復原プロジェクトに対するベトナム側の財政支援が可能になり、平成26年度末までに昭敬殿の完成が確実となった。また、我々は、太廟区整備プロジェクトに参加するために、平成27年度科研費補助基盤研究(S)または(A)の申請を検討している。
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