平成26年度に実施した研究として、第9次調査、第10調査を行った。第9次調査は、8月17日から9月4日まで行われ、その内容は、①昭敬殿の素屋根解体②太祖廟の1/10模型の検査であった。素屋根の解体は、8月18日(日)から開始され、フエ遺跡保存センターが所有するクレーンおよびトラッククレーンを使用して、日本人3人、ベトナム人3人で解体を実施し、8月25日(月)に完了した。創建太祖廟の1/10模型は、基壇に残された礎石間実測寸法と世祖廟の寸法計画を参考にして、創建太祖廟の寸法計画を復原し、その復原設計に基づいて模型を制作した。この模型制作を通して、模型のスケールが小さいため、柱の転びと伸びの問題について検討できなかった。第10次調査は、平成27年3月19日(木)から3月25日(水)まで行われ、その内容は、①隆徳殿1/4模型の組立②王宮宮殿および帝廟寝殿の柱間・柱径の実測調査であった。隆徳殿模型は「隆徳殿修復計画」で制作したものを3月初旬に日本からベトナムへ送り、東闕台建物内に復原した。宮殿および寝殿の柱間・柱径を実測した目的は、柱径の決定方法を明らかにするためである。柱間と柱径の関係における法則性から創建太祖廟の柱怪を求めることができると考えている。また第9次調査に先立って、5月から7月末まで屋根工事および漆工事を行い、8月末に素屋根を解体し、昭敬殿の復原工事は竣工した。 2014年9月12日、日本建築学会近畿大会(神戸大学)において、「昭敬殿の木造架構の復原について 阮朝・太廟・昭敬殿の復原計画(その11)」、「世祖廟と太祖廟の平面比較について 阮朝・太廟・昭敬殿の復原計画(その12)」を発表し、また2014年4月「阮朝フエ王宮における隆徳殿の仕口について 隆徳殿の建築技法3」、2014年11月「阮朝フエ王宮における世祖廟の寸法計画について」が日本建築学会計画系論文集に掲載された。
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