研究課題/領域番号 |
22254008
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
渡邊 公一郎 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10182916)
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研究分担者 |
今井 亮 秋田大学, 工学資源学研究科, 教授 (90223304)
横山 拓史 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (20136419)
高橋 亮平 秋田大学, 工学資源学研究科, 助教 (10396286)
実松 健造 独立行政法人産業技術総合研究所, 地圏資源環境研究部門, 研究員 (40462840)
米津 幸太郎 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (90552208)
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キーワード | 鉱物資源 / アフリカ / 東南アジア / 希少資源 |
研究概要 |
当該研究は大きくフィールド調査、実験分析、データモデル作成の3つの分野に大別することができるが、フィールド調査では、調査対象国の研究者との国際共同研究として行うことで、現地調査の円滑化・学際的な研究・若手研究者を含めた人材交流も含めて行った。 平成23年度はアフリカ北部(エジプト・アルジェリア)においてレアメタル資源調査を行った。エジプトでは東砂漠地域を対象とし、希土類・タンタル・ニオブ資源の調査を行い、微量分析や抽出実験の結果、希土類資源は母岩中の濃度はそれほど高くはないものの風化した岩石中には多量含まれていること、タンタル・ニオブ資源はコロンブ石として存在しており、ジルコンなどの重鉱物を副産物とすることで資源量として一定の量が見込めることが見出された。また、アルジェリアにおいては北東部のテベサ地域において鉄、鉛、亜鉛、バライト-蛍石の鉱化地域を調査した。これらは鉱床の生成プロセスの解明を進めるとともに希少資源の含有量を調査した。日本では現在これらの地域の資源情報が乏しいが、将来的な現地とのパイプ作り、人材交流を行うことも目的としており、それは共同研究を通じて達せられた。 東南アジアでは、インドネシア・ジャワ島における金鉱床を含む火山・熱水系の調査、スラヴェシ島における花崗岩に伴われるレアメタル資源調査を行い、ジャワ島の金鉱床に関してはボーリング以外の地下切羽からの初の地質学・鉱物学・地球化学的なデータの採取に成功した。スラヴェシ島の花崗岩帯では、地質年代測定や同位体測定を通じて、岩体の発達の歴史と併せて鉱化作用の特徴をとらえた。希土類元素は部分的に濃集されていることが分かったが、資源量としては不十分であり、その他の熱水活動の結果生じた鉱化に伴われる希少金属の記載を中心に行った。マレーシア、カンボジアでは熱水性鉱脈中の金属量調査と花崗岩に随伴されるレアメタル資源量調査を行い、マレーシアでは金の鉱化を、カンボジアではモリブデンの鉱化を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多くの地下資源を海外に依存している我が国を鑑み、積極的にアジア・アフリカの海外諸国との共同研究を展開しており、データのなかった地域に対して資源ポテンシャルの評価できるような地質学的・地球化学的な根拠のあるデータ採取を行えている。また、それらの海外との研究を若手研究者を含む共同研究として推進しており、長い目で見ても発展できる関係を築いている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も大きな方針の転換はしない方向である。日本とは資源探査・開発において交流の乏しい地域に対しても積極的にアプローチし、永続的に共同研究を行えるように若手研究者を含めた国際共同研究を展開する予定である。地域セキュリティには十分、配慮する必要があったり、政情によっても左右されうるため慎重に連携機関と情報交換を行って研究を推進する必要がある。
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