研究課題/領域番号 |
22254008
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
渡邊 公一郎 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10182916)
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研究分担者 |
米津 幸太郎 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90552208)
横山 拓史 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20136419)
中西 哲也 九州大学, 総合研究博物館, 准教授 (50315115)
今井 亮 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90223304)
高橋 亮平 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10396286)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 鉱物資源 / アフリカ / 東南アジア / 希少資源 |
研究概要 |
当該研究は大きくフィールド調査、実験分析、データモデル作成の3つの分野に大別することができるが、フィールド調査では、調査対象国の研究者との国際共同研究として行うことで、現地調査の円滑化・学際的な研究・若手研究者を含めた人材交流も含めて行った。 アフリカ北部において、レアメタル資源調査を行った。エジプトではシナイ半島南西部において、鉄・マンガン堆積層を調査し、主として希土類資源の分布・含有量調査を行った。室内実験において、微量分析や段階抽出実験の結果、希土類資源は一部の鉄・マンガン層において、顕著な濃集を示した。また、東砂漠南部地域の金鉱化帯の調査も併せて行ったが、そちらでは金の起源の調査を行い、黄鉄鉱中に包含されている可能性が高まり、現在も継続的に実験中である。アルジェリアにおいては、南部のホガール地域のおいて、錫-タングステンの鉱化作用について調査を行った。この鉱化帯ではそのほかにもニオブやタンタル、リチウムを含む雲母などが見いだすことができ、これらのもととなった花崗岩の調査も行うことで、鉱化順序やメカニズムの解明を行った。日本では現在これらの地域の金属資源情報は欠けており、現地とのパイプ作り、人材交流を行うことも目的としており、それは共同研究を通じて成果を上げているところである。 東南アジアでは、インドネシア・ジャワ島西部における金鉱床を含む火山・熱水系の調査、スラヴェシ島北部における花崗岩に伴われる金-銅鉱床のの資源調査を行った。ジャワ島の金鉱床に関しては開発中の鉱山より、含金石英脈試料を採取し、鉱物学・地球化学的なデータの採取に成功し、地質年代測定に必要な氷長石を見出したことから、鉱床形成の時空間的解析へと発展することが期待できる。スラヴェシ島の花崗岩帯では、ボーリングコア試料を中心に、金および銅の分布を調査し、一定の濃集ゾーンを見出すことに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究は大きくフィールド調査、実験分析、データモデル作成の3つの分野を行うが、フィールド調査では、調査対象国の研究者との国際共同研究として行うことで、現地調査の円滑化・学際的な研究・若手研究者を含めた人材交流も含めて行うことを目的の1つとしている。この点については、決して情勢の良いとは言えないアフリカ地域にいても現地協力機関と密に連携を取って、安全を確保しながら、調査を行うなど、学術研究レベルでの交流を継続している。多くの地下資源を海外に依存している我が国の状況を考え、積極的に前述のアフリカ地域および東南アジアの海外諸国との共同研究を広くさらに深く展開しており、鉱物データのなかった地域に対して資源ポテンシャルの評価できるような地質学的に意義のあるデータ採取を遂行したり、資源量の再評価や科学的な鉱床生成メカニズムの解明を行っている。実験分析では、共同分析の範囲内で海外からの招聘も積極的に行い、単に日本側が海外フィールドの提供を受けて、日本側が単独で分析も行うといった関係ではなく双方向での理解のもとに研究を進めているため、次年度あるいはその後にも継続できるような下地を作りながら研究の進展がある。データモデル作りでは、やや後れを取っているものの、地化学データを蓄積し、時空間的な解析を加える試みをしている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も大きな方針の転換はしない方向であるが、東南アジア・アフリカ地域との間で共同研究を展開し、資源探査・開発において交流の乏しい地域に対しても積極的にアプローチすることで、鉱物資源データを採取する予定である。また、科学的な要素も取り入れた鉱床成因の解明や地化学データの蓄積を通じて、研究対象国での資源探査のっきっかけを与えていく予定である。また、将来にわたって共同研究を行えるように若手研究者を含めた国際共同研究を行い、その中で上記のようなデータを採取し、論文や学会発表を通じて、広く結果を公開していく予定である。 アフリカに対しては政情問題もあるが、すでに採取した地化学試料を用いてさらなる実験を重ねることで、鉱床生成のモデリング等を行い、東南アジア地域では現在、従事中の対象地域の調査を継続するとともに、新たに希土類資源や貴金属資源の調査も加え、さらに広く産業のニーズにこたえる鉱種の調査を展開するところである。
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