研究課題/領域番号 |
22255006
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中務 真人 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00227828)
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研究分担者 |
國松 豊 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (80243111)
荻原 直道 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (70324605)
酒井 哲弥 島根大学, 総合理工学部, 准教授 (90303809)
仲谷 英夫 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20180424)
實吉 玄貴 株式会社林原生物化学研究所類人猿研究センター, 系統進化研究部, 研究員 (50522140)
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キーワード | 古人類学 / 東アフリカ / ケニア / 中新世 / 化石 / 霊長類 / 古環境 |
研究概要 |
人類起源に関わる様々な研究中、アフリカ類人猿と人類の系統が分岐した背景明らかにすることは最重要課題の一つである。本課題が調査対象としているナカリ累層(ケニア、980-990万年前)は、この時代のアフリカ化石類人猿が知られている数少ない(3カ所)化石産地の一つであり、霊長類化石の量と質に関してなかんずく飛び抜けている。本課題では、ナカリより動植物化石を収集し、これまでに集めた化石資料と共にそれらを分析し、霊長類を中心として、化石動物種の系統解析・生態復元、古環境復元を行うことを目的としている。 8~9月に現地発掘調査を6週間行い、800点を超える動物化石を収集した。新しく発見した植物化石産地からは、大量の葉の印象化石を入手した。23年度は、これまで計測してきた植食性哺乳類化石歯エナメルの安定同位体分析結果を論文発表した。ナカリの年代以降、東アフリカではC3環境からC4環境への移行が始まったことが明らかになった。ナカリはほぼ純粋なC3環境と推定され、その結果は多くの樹上性小型コロブス類の存在、植物食性哺乳類のメソウェア解析からも支持される。興味深いことに30万年程度新しい、やはり類人猿が出土しているケニアのナムルングレ層は強いC4環境のシグナルを示し、この時代の類人猿が広い適応帯(あるいは多様性)をもっていたことが明らかになった。葉化石の同定では、水辺に生えるオモダカ科の葉が多く認められた。 さらに、2009年に発掘したコロブス頭蓋骨を材料に、CT連続撮影像より歪みをのぞいた復元像を作成し、幾何学的形態解析法で現生コロブスとの系統解析を行い、アフリカからユーラシアへの狭鼻類の拡散過程を明らかにしようとしている。 これらの研究成果は、8月にアディスアベバで開かれた、東アフリカ古人類学古生物学会議で報告し、11月に沖縄で開かれた日本人類学会でシンポジウムを企画し発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4年の計画中2年しか経過していないが、現時点まで新しい化石資料の収集は順調に増加しており、植物化石の収集は当初の予想以上に進んでいる。古環境についてほ、安定同位体分析の結果を発表し、その他の動物相、大型類人猿の系統解析についての研究も、本年度中の発表を目指して順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には発掘を主体とした当初の研究計画を実行する。植物化石の資料が増えていることからそれらの集中的解析、また、プラントオパールの分析も進める。霊長類化石が増えているため、あらたに、足部の機能形態に詳しい海外研究者を研究組織に追加する。
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