研究課題
人類起源に関わる様々な研究中、アフリカ類人猿と人類の系統が分岐した背景を明らかにすることは最重要課題の一つである。ところが、1200-700万年前のアフリカにおける化石産地は著しく乏しく、本課題が調査対象としているナカリ層(ケニア、980-990万年前)は、この時代の化石類人猿が知られている3カ所しかない化石産地の一つであり、また、産出した霊長類化石の量と質に関して他より飛び抜けている。本課題では、ナカリより動植物化石を収集し、これまでに集めた化石資料と共にそれらを分析し、霊長類を中心として、化石動物種の系統解析・生態復元、古環境復元を行うことを目的とした。8-9月に現地調査を行い、地質学的調査と発掘による化石収集を行った。これまでの調査により、ナカリ層からは6目30種をこえる哺乳類が発見された。ナカリで最も多く発見されている霊長類は、コロブス類であり、これまで数体の部分骨格も発見されている。それらの運動行動復元を進めた。また、これまで集めた資料の精査を行い、始めて原猿類の化石を発見した。ナカリ産げっ歯類、サイ科の分類学的研究を発展させた。ナカリ層よりも200万年古いロソゴル層の植物化石の標本処理を進め、予備的だが同定を開始した。また、後期中新世ナカリピテクスと比較する上で重要な参照標本となると考えられる中期中新世類人猿ナチョラピテクスの未発表資料の記載を行った。こうした成果について、日本アフリカ学会、日本地球惑星科学連合、日本霊長類学会、日本人類学会、日本古生物学会などの年次大会において発表を行うと共に、ナカリ調査が霊長類進化研究上もつ重要な意義についての総説などを発表した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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