研究課題/領域番号 |
22256001
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
井戸 栄治 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特任教授 (70183176)
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研究分担者 |
生田 和良 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (60127181)
中屋 隆明 大阪大学, 微生物病研究所, 特任准教授 (80271633)
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キーワード | エイズ / HIV / アフリカ / 分子疫学 / コンゴ民主 / コンゴ / 進化 / 起源 |
研究概要 |
エイズウイルス(HIV)が世界に拡大蔓延し始めた場所が中央部アフリカ地域内の何処かであろうという説に研究者らの間で異論はない。しかし、いつ、どの国のどの町で、如何にして人間社会に拡がったのかについては、まだ明快な答えが出ている訳ではない。本研究では、その疑問の解答を求めるべく、焦点を現在遺伝子の多様性が最も高いコンゴ盆地に絞り、各地から検体を集め、その分子疫学的解析からエイズパンデミックの謎を解き明かすことを目的としている。本研究以前にコンゴ民主の比較的周辺部地域から検体を集めていたので、今年度はコンゴ川の主要な支流が合流する中流域に位置する赤道州に注目し、そこで定住するエイズ患者らから検体を集めた。これまでに遺伝子解析した21検体の内訳は、最も多いサブタイプがA(48%)、続いてG、F、D、Cとなり、検体数が少ないにも拘わらず、極めて多様な遺伝子型が共存することが明らかとなった。既報のデータと当研究グループがそれまでに得ている解析結果と合わせて、コンゴ盆地の中央部分ほど遺伝的多様性が高い傾向が明らかであり、エイズパンデミックの発祥の地として当該地域が最もその候補に近いことを示唆するものであった。また中央部アフリカのHIVは、その高い多様性と共に、異なった遺伝子型のウイルスが同一患者に感染する、いわゆる重感染の症例が見られることが知られている。この赤道州でも2人の患者がそれぞれAとC、DとGの重感染であることが判り、既存のサブタイプに分類不能の株(unclassified)の存在と合わせて、当地では絶えず新しい型のHIVウイルスがダイナミックに生成されている現場であることが明らかとなった。今後さらに同盆地内各地の綿密な調査と追跡調査が必要であろう。
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