研究課題/領域番号 |
22256003
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研究機関 | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
中村 哲 独立行政法人国立国際医療研究センター, 熱帯医学研究室, 室長 (40207874)
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研究分担者 |
翠川 裕 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 准教授 (10209819)
波部 重久 福岡大学, 医学部, 講師 (70037430)
松田 肇 獨協医科大学, 医学部, 名誉教授 (30114648)
渡部 徹 山形大学, 農学部, 准教授 (10302192)
翠川 薫 三重大学, 医学研究科, リサーチアソシエイト (20393366)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | ラオス / 水系感染症 / リスク管理 / 下痢症 / 吸虫症 / フィラリア症 |
研究概要 |
下痢疾患に関し、調査地区を含む15か所の水域で分離した11株のKlebsiella菌種のβ-lactamase拡散に関わる薬剤感受性テストを実施した。結果はニューキノロンやST合剤、コリスチン剤に感受性が見られたが、ABPCやテトラサイクリン、エリスロマイシンには耐性であった。サルモネラ感染調査では、ビエンチャン都の対照地区で18%の住民感染例が確認され、2007年以前の30%に比べて低下していた。またその分離菌は全て非チフス・サルモネラであった。さらに同国での代表的な下痢症であるコレラ流行に関し、1993年以降から現在までの疫学状況について英文総説として発表した。寄生虫疾患に関しては、ビエンチャン対照地区で虫卵検査を継続して実施した。結果は152例中、タイ肝吸虫(Ov)感染が90例(59%)と昨年同様に高く、山岳地居住地区と顕著な差が見られ、民族間の食習慣や中間宿主である魚や貝の生態と分布にリスクが依存することが示唆された。またこの調査で、再度検査を受けた住民について、調査そのものがOv感染予防のインパクトとし影響する可能性を評価した。しかし、予防に関わる知識は十分高いものの、生食の嗜好は変わらなかった。したがって、その効果は十分ではないことが示唆された。Ov感染症は胆嚢癌のリスクであることから、低地居住民の淡水魚の生食習慣に対する効果的な介入法の確立が今後ラオス国の疾病管理に極めて重要であることが判明した。ヒトフィラリア症に関しては、これまで確立したrPCRとDNA配列分析により、アタプー県に隣接するサラバン県でバンクロフト糸状虫感染例を新たに発見した。本年までの研究で、疫学データから飲み水を起因とする下痢症と消化管寄生虫症事例についてリスク因子を特定し、重回帰により未調査の村落を含めた広域のリスクマップを作成し、地域の疾病管理に応用する手法とその実性を提示した
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