生体分子からの機能発現,自律分散ロボットの相互位置制御,データベースシステムの一貫性制御,人間社会の選挙,といった多くの問題から領域固有の問題を捨象し,内包する分散計算構造に注目すると,典型的な分散問題である合意形成問題が共通して出現する.この事実に着目し,巨大分散システムを理解し制御するための汎用分散計算論を構築することが申請者が描く研究の全体構想である. その中で,本研究では,(分子のような)記憶や識別子を持たない要素から構成される(生物のような)巨大分散システムが,高度な自律性を獲得できる理由を分散計算論の立場から理解し,自律性を有する(人工の)巨大分散システムの設計論を構築した.
|