研究概要 |
本研究では,時々刻々変化するネットワーク環境に構築される,超大規模分散システムの安定性と消費エネルギーの間のトレードオフ関係を解明し,エネルギー効率に優れた自律適応型分散アルゴリズムの設計法を確立することを目的とする.本年度は,次の2つの研究課題に取り組み,以下の成果を得た 1 分散アルゴリズムの消費エネルギーのモデル化 動的で大規模なネットワークの典型例の一つが,無線センサネットワークである.無線センサネットワークはバッテリ駆動のセンサノードで構成されており,消費エネルギーの削減が重要な課題となっている.センサノードでは,メッセージ通信時のエネルギー消費量が大きく,通信を削減することがエネルギー効率化につながる.そこで,無線センサネットワークにおける分散アルゴリズムの通信効率の概念を定式化し,通信効率に優れた分散アルゴリズムの設計を行った 2 断続的に変化するネットワーク環境における分散システムの安定性の定量指標の提案 ネットワーク環境における断続的な変化をビザンチン故障としてモデル化し,ビザンチン故障に対する分散システムの安定性として,ビザンチン故障が分散システムに及ぼす影響を,空間的あるいは時間的に制限する,ビザンチン故障封じ込めの概念を提案した.さらに,ビザンチン故障封じ込めの効果を定量的に評価するための指標を,空間的及び時間的観点の両方から提案した.さらに,さまざまなモデルや問題に対して,ビザンチン故障封じ込めを実現する分散アルゴリズムの設計を行った
|