本研究は、大きく分けて、(1) 光CDM網におけるIPネットワークで提供されるアプリケーショントラフィックを収容するためのネットワークアーキテクチャ、ならびに光CDMパスの設定手法の提案、(2) マルチ粒度パスに応じた狭帯域アプリケーショントラフィック、広帯域アプリケーショントラフィックの収容手法の提案、(3) 光CDM方式を用いたネットワークでのIPトラフィック収容特性に関する検証、(4) 実験ネットワークの構築と特性評価、の4段階、3カ年計画を予定している。前半では、理論解析、シミュレーションによる評価、後半では実証実験による評価を行い、その有効性を明らかにする。 本年度では、(3)の後半、および(4)に取り組んだ。前年度提案した、IPトラフィックのように呼の継続時間が短い場合にパス設定を行わずにブロードキャスト転送する手法ならびにネットワークアーキテクチャにおいては、負荷が低い場合でも呼損率が小さくならない問題があった。これは、ブロードキャストを行うため、途中ノードにおいて衝突を起こす確率が大きいためである。そこで、途中ノードで衝突を生じないよう、最も次数の高いノードをルートノードとし、ルートノードからバスで書くノードを接続するようなトポロジーを構成するアーキテクチャを提案し、評価した。その結果、負荷の高い場合にはバス型の影響を受け呼損率は小さくならないが、負荷の低い場合には呼損率を小さくすることができ、その有効性を確認した。実証実験およびその評価については、ハードウェアの進展がまだ十分ではなく、今後の課題と考えている。
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