研究概要 |
自己組織型エンティティ協調制御に関する研究では、大規模ネットワークにおいて分単位の短いタイムスケールで生じるトラヒック変動にも対応し、輻輳を回避する階層型TE手法を提案した。提案手法では、最下位層では狭い範囲、上位層は下位層の複数の範囲を束ねたより広い範囲となるように、制御対象のネットワークを階層的に分割する。各範囲には、対応する制御サーバーを配置し、上位層および下位層の制御サーバーと集約した情報を交換することにより、自身が制御する対象の範囲内のトラヒック状況を把握する。本年度は、トラヒック情報の集約方法と集約したトラヒック情報を用いたトラヒックエンジニアリング手法に関する研究に取り組み、計算機シミュレーションにより、ネットワーク全体の情報を用いた制御よりも早くリンク利用率を削減することを示した。さらに、自己組織型エマージェント制御に関する研究として、ノードやネットワークなどネットワークシステみの全ての構成要素が、周囲の観測や近隣要素との情報交換によって得られる局所的な情報にもとづいて制御や振る舞いを決定し、さらにそれらの相互作用によって、ネットワークシステム全体の機能が生み出される自己組織的なネットワークアーキテクチャを提案した。次に、無線センサーネットワークを対象とし、周囲の観測や近隣端末との情報交換から得られる局所情報、さらには随時発生するサービス要求に応じたネットワークを動的に構成するために,具備するデバイスや稼働状況を考慮して,その場で利用可能な端末の中からサービス要求を満たす適切なものが選出される機構として、社会性昆虫における分業の仕組みの数理モデルである,反応閾値モデルを用いて端末自身が自律分散的にサービスヘデバイス提供を判断する手法を提案し、シミュレーション評価により、複数のサービス間で端末が共有される効率的な端末の選出が行えることを確認した。
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