研究課題
次世代暗号であるペアリング暗号は、従来の公開鍵暗号では実現困難であったセキュリティ技術を効率的に提供でき、更に将来のユビキタス社会に適した暗号プロトコルも構成できる。本研究課題では、ペアリング暗号の基礎理論から実装技術までを含めた研究を進めた。本年度は、128ビットAESのセキュリティレベルにおけるR-ateペアリングをBREW携帯電話においてソフトウェア実装を行った。高速化にあたり最終幕にAddition Chainを適用した結果Fpの乗算回数を約8%削減し、BREW携帯電話(ARM9 225MHz)におけるR-ateペアリングの演算時間は1.60秒となった。また同じセキュリティレベルにおけるBREW携帯電話上でRSAとECCとの時間比較を行った結果、R-ateペアリングはRSAとECC同等の演算時間であった。また、ペアリングを利用した暗号プロトコルの研究を進め、Lu-Dong-Caoによって提案されたモバイル通信に向いた効率的な代理署名方式に対する脆弱性を指摘した。複数のバイオメトリ情報から秘密鍵を抽出することが可能な暗号化認証方式をペアリングにより構成した。ペアリング暗号ではユーザのIDを楕円曲線上の点に埋め込む作業が必要となるが、有限体GF(3^n)上の超楕円曲線を利用したペアリングに対する効率的なMapToPointアルゴリズムを提案した。更に、de Gruyter社からペアリング暗号に関する解説記事「Pairing-based cryptography and its security analysis」を出版した。既に実用化されているRSA暗号や楕円曲線暗号とペアリング暗号で利用されている数理構造の違いに関して解説した。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 備考 (1件)
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