研究概要 |
本研究は,火災・爆発や無差別殺傷テロなど都市域において突発的でパニックを誘引する災害発生直後に,発生現場から被災者の緊急避難を支援するという,応災型情報通信システムの開発を目的とする.一般に突発性重大災害発生時には,高々数分以内に災害現場から緊急避難できるかどうかが生死を分ける,と言われている.本研究では,災害現場の被災者の時々刻々の動きから,リアルタイムに災害発生位置や災害状況・種類の特定を試み,避難経路情報を瞬時(高々数10秒程度)に獲得し,被災者の救援や脱出経路誘導などを行う.このためパニック型災害発生時の発生位置と災害種類の特定アルゴリズム開発が必要である.本年度はSVM(サポート・ベクター・マシン)を導入し,災害の発生を自動的に検出するアルゴリズムを作成した。次にアルゴリズムや通信機能を実装した非常時緊急通信端末のプロトタイプを4台試作した.開発システムの有効性を検証するため,関西大学中央体育館内に都市域構造体モデルなどを構築し,被験者約150名の協力によりパニック型災害時避難実験を行なった.現時点では災害発生検知アルゴリズムがリアルタイムで動作していないため,緊急避難実験によって得た被験者の避難行動の動きを9軸センサでデータ収集し,実験後データ処理することにより,災害発生の自動検出の可能性を確認した.23年度以降,アルゴリズムを被験者(被災者)の保有端末に実装し,緊急救命避難支援システム(ERESS)の実装化を行うとともに,ERESS端末数を少なくとも10台以上製作し,避難実験時でのデータ収集の精度向上と,災害発生時刻の検出,災害種類の特定化の実現に向けて,研究開発を鋭意進めていく所存である
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