研究概要 |
形状情報や画像情報の処理にあたっては,処理結果や表示結果の自然さや理解の容易さが重要な要素となる.従来,画像処理における画質の尺度は原画像の再現性を表したものであり,CGでは光学現象のシミュレーションによって実写に近い画像を指向していた.つまり,画像や形状の認識可能性や認識の容易さを,陽に扱うものではなかった.本研究課題では,視覚心理学や認知科学の知見に基づき,2次元画像ならびに3次元形状の認識におけるポイントを明らかにする.そのうえで,従来の画像・形状処理にはなかった新しい画像評価法の確立を目指している. 2010年度は,2次元画像処理に関しては顔画像から受ける印象,3次元形状に関しては理解を促進する線画表現を中心に研究を進めた.顔画像については年齢と美醜に関する印象を機械学習によって解析した.一般に年齢と美醜の印象は,かなり強い相関性があるが,年齢とは独立した美醜について検討し,顔画像に変更を加える手法を開発した.現在のところは,顔画像中の特徴抽出にユーザインタラクションを必要としているが,今後は特徴抽出の自動化などを進める必要があろう.3次元形状の線画表現では,これまでに良く利用されてきた微分特徴量をベースとしつつも,積分量を利用することによってノイズ等に対する耐性に優れた頑健で自然な特徴線の抽出法を考案した.積分量をベースとするために,やや計算量が多いことが難点であり,より効率的な計算法を検討しているところである.
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