研究課題/領域番号 |
22300030
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山口 泰 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (80210376)
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研究分担者 |
籔内 直樹(籔内佐斗司) 東京芸術大学, 大学院美術研究科, 教授 (10376931)
白石 路雄 東邦大学, 理学部, 講師 (60408945)
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キーワード | メディア情報処理 / 視覚 / 形状 / 画像 |
研究概要 |
形状情報や画像情報の処理にあたっては,処理結果や表示結果の自然さや理解の容易さが重要な要素となる.従来,画像処理における画質の尺度は原画像の再現性を表したものであり,一方CGでは実写に近い画像を指向し,光学現象のシミュレーションによって画像を合成していた.つまり,画像や形状の認識可能性や認識の容易さを,陽に扱うものではなかった.本研究課題では,視覚心理学や認知科学の知見に基づき,2次元画像ならびに3次元形状の認識におけるポイントを明らかにする.そのうえで,従来の画像・形状処理にはなかった新しい画像評価法の確立を目指している. 平成23年度は,2次元画像処理に関してはビデオ映像の自然な補完技術,3次元形状に関しては理解を促進する線画表現を中心に研究を進めた.ビデオ映像の補完技術に関しては,人などの移動物体がある場合に,背景の微小な動きと区別して映像を補完する技術について検討を行った.背景が完全に静止している場合には,差分画像を作ることで移動物体を抽出できるが,波や枝のように背景にも動くものがあると移動物体の抽出が難しくなる.一般に背景の動きはランダムであることに着目して,テンプレートを用いることで移動物体を安定的に抽出するとともに,補完処理の高速化も図れることを示した.3次元形状の線画表現では,積分量を利用することによってノイズ等に対する耐性に優れた頑健で自然な特徴線の抽出法の発展を試みた.積分量をベースとするために,やや計算量が多いことが難点であったが,対象形状の位相情報を利用することで処理の高速化を実現できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題全体は平成22~24年度に実施する予定で計画された.しかし,平成22年度に比較的基礎となる部分で手法の変更があったため,研究実施が後にずれこんでしまった.その後,当初の遅れを取り戻すことができずに研究を継続している状況であり,今回,平成25年に平成23年度の実績報告書を提出することとなった.なお,時間的な遅れはあるものの,内容的には当初の計画を順調をこなしていると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
【現在までの達成度】に記載したように,平成22年度の遅れを挽回できずに,研究計画全体が後にずれてしまっている.ただし,その後は当初に予定した速度で進捗していると言ってよく,遅れを挽回できてはいないものの,それ以上遅れることなく数ヶ月程度のずれを保ったまま,計画を着実に遂行していると評価している.本研究課題全体の最終的な完了も遅れることが予想されるものの,内容的には当初予定していたものをこなせると考えている.そのため,平成25年度は科学研究費補助金の新規課題の申請を控えて,本研究課題に注力することにした.平成25年度中には研究を完成したいと考えている.
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