研究分担者 |
正村 俊之 東北大学, 文学研究科, 教授 (00209420)
伊藤 守 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (30232474)
長田 博泰 札幌学院大学, 総合研究所, 客員研究員 (70000875)
千葉 正喜 札幌学院大学, 社会情報学部, 教授 (90000885)
伊藤 一成 青山学院大学, 社会情報学部, 准教授 (20406812)
|
研究概要 |
本研究は,社会情報学という新しい学問分野の知識体系(body of knowledge,BOK)を社会情報学に関わる人々の「集合知」として創成し,それを共有しようとすることを目的としている.成熟した学問分野ではその知識体系は権威がトップダウンで策定するが,社会情報学のような新生学問分野ではそのようなアプローチは機能せず,ボトムアップでかつそれを集合知として集約することで初めて策定できるという考え方でBOK策定を行ってきた.そのため,本研究ではまずウェブ上の協調作業支援を可能とするソーシャルソフトウェアであるWikiに着目してWikiBOKと名付けた知の構築支援システムを業務委託をしながら開発してきた.WikiBOKを用いることで社会情報学に携わる教員が遠隔やWiFi環境のもとで協同して社会情報学BOK(SIBOK)を構築できる.2011年度に掲げた研究実施計画に即して研究成果を記述すれば,本研究の研究代表者と分担者が2011年度に4回全体集会を開催し(2011年6月@東京,9月@札幌,11月@東京,2012年3月@東京),開発してきたwikiBoKの機能を全員で検証し改善すべき点を洗い出し改善に努め,WikiBOKの主要モジュールであるBOK Editor,Description Editor,Edit Conflict Resolverがほぼ期待通り稼働することを確認した.また,そのWikiBoKを使用してSIBOK構築に取り組んだ.その結果,現在SIBOKは社会情報学を根(root)とし,その直下にエリア,それに続くユニット,そしてそれに続くトピックと称する下位概念を階層的に形作る概念木として,約600個のノードからなる木を構築するまでに至っている.2011年度当初に研究課題に掲げた,創成されたSIBOKの妥当性検証までは研究は進捗しなかったが,SIBOKの構築過程で,集合知としてのBOKをいかに収束性良く効率的に構築支援していけるかについて知見を深められたことはそれに代わる成果と考えられる.研究成果は国内外に積極的に情報発信しており,本学のみならず我が国の社会情報学の興隆に少なからず貢献できているものと信ずる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的は,集合知の考えに基づいて,(1)新生学問分野の知識体系構築支援システムWikiBOKを開発し,(2)それを用いて仕会情報学BOKを構築し,(3)構築されたBOKの妥当性を検証することにあった.(1)と(2)に関しては大変順調に研究は進展しているが,(3)については常に議論の対象とはしてきたものの,本格的取り組みはなされなかった.それゆえ,現在までの達成度を(2)おおむね順調に進展している,と自己評価した.
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策に大きな変化はない.次年度は,知の構築支援システムWikiBOKの性能やユーザビリティに特に重点をおいた改良を施し,本研究終了時点ではオープンソースとして公開する予定である.また,社会情報学BOKについては,構築されるBOKの妥当性を如何にして担保するかという視点のもと,積極的にBOK策定を進めて,世界で初めての社会情報学の知識体系を明らかにする.
|