本研究の目的は、主に聞き手に回っている参加者の反応に注目することで、ミーティングの内容的・状況的な構造を推定し、ミーティングの記録や支援に役立てる方式を開発することである。具体的には、ミーティング参加者間のインタラクションとして発生する視線変化やあいづち・うなずきといった非言語的反応に着目する。また、議論中のメモやスライドへの書き込みといった聞き手による協調的アノテーションを活用し、議論型ミーティングのアーカイブに自動インデクスを付与する手法を開発する。 今年度は、これまでコミュニケーション支援ツールとして開発してきたPhoto Chatと呼ばれるシステムを協調的アノテーションの手段として利用するために、ミーティングスライドと書き込みの連携を進め、書き込み行為と、その他の非言語反応(頭部方向の移動や発話交替)のセンシングデータを統合的に記録する環境を構築し、具体的なミーティングを記録したデータに基づいて分析を行った。具体的には、Photo Chat上でなされるスライドへの書き込みやそれに対する反応と、うなずきやあいづちの関連を分析し、ミーティングの重要シーンや会話の盛り上がりとの関連を推定するモデルを構築した。 それと並行して、過去のミーティングから関連するシーンを抽出する話題マイニングエージェントを実現するために、現在進行中のミーティング状況と過去のミーティングの状況を比較し、過去の関連シーンを提示する要素システムの試作を始めた。
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