研究課題
.本研究の目的は、主に聞き手に回っている参加者の反応に注目することで、ミーティングの内容的・状況的な構造を推定し、ミーティングの記録や支援に役立てる方式を開発することである。具体的には、ミーティング参加者間のインタラクションとして発生する視線変化やあいつち・うなずきといった非言語的反応に着目する。また、議論中のメモやスライドへの書き込みといった聞き手による協調的アノテーションを活用し、議論型ミーティングのアーカイブに自動インデクスを付与する手法を開発する。昨年度は、4,5人による一般的な円座式のミーティングを想定したシステム開発と予備検討を進めてきた。そこでは、参加者やその位置関係はある程度固定されていることを想定して聞き手反応を計測することができた。今年度は、博物館などの展示会場における立ち話のような状況を対象とし、聞き手反応に注目した会話インタラクションの計測と分析を行った。そこでは、会話に参加するメンバーの出入りがあり、また、互いの身体的位置関係も変化し続ける。したがって、視線変化、うなずき、あいづちといった細かい身体変化ではなく、相対的な立ち位置の変化や発話交替に着目した状況認識(会話グループの発生や盛り上がり)の手法を開発した。具体的なフィールドでの試みとして、京都大学博物館における2人の見学者と説明員の間の会話を収録し、説明員の立ち位置に応じた発話量やジェスチャーの発生に与える影響を分析した。また、模擬的な展示会の設定において、写真撮影と書き込みに基づいたコミュニケーション支援システムPhotoChatを利用した見学者間の会話状況の推定を試み、そのための、会話場検出や盛り上がり検出の基本技術の開発を進めた。
2: おおむね順調に進展している
参加者間の非言語インタラクションの計測とそれに基づいたミーティングの状況理解に関する要素技術の開発と、それを適用したフィールド実験(研究室内のミーティングや展覧会における会話状況理解)について、おおむね予定通り進んでいる。
最終年度は、ミーティングの記録データからのディスカッションマイニングとその表示に関する手法の開発を行い、あわせて、フィールドにおける運用実験を行う。
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