【表示系】平成25年度は、前年度までに設計・試作した超広視野再帰性透過スクリーンを用いた超広視野頭部搭載型プロジェクタに適した情報配置方針について引き続き検討し、被験者実験を実施した。実験条件としては、より実際の利用シーンに近い屋外環境において、座タスクと歩行タスクを用いた。結果として、集中の必要なタスクを現実環境で行っている際に、それと関連しない情報を提示する場合であっても、水平視野角100度程度までは、正確に情報を検知できることが示された。また、情報の検知率は、目下現実環境で行っているタスクへの集中度と関連があることが示された。また、視野角の大きさは主観的な作業負荷に影響を与えないことが示された。 【撮影系】前年度に引き続き、超広視野頭部搭載型カメラを用いて、アピアランスベースの視線推定について検討した。学習時データのバラ付きを抑え、目を閉じているなど推定に向かない画像を自動的に削除するなどの改良を施した。 【インタフェース系】視線を用いた情報選択手法について、奥行きを用いた方法を新たに考案し、その有効性を実験から明らかにした。具体的には、三層の表示レイヤを備える頭部搭載型ディスプレイを試作した上で、市販の小型視線推定装置を用い、注視点距離の違いにより三層の表示レイヤのうちどのレイヤを注視しているかを正しく推定できることを示した。本手法は超広視野映像装置への統合はできていないが、将来的に同様の映像装置と統合する際のインタフェース設計に際して指針を与える。
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