研究概要 |
本年度は,主に下記の4点に取り組み,下記の成果を出した, 1.機械翻訳を介したコミュニケーションにおける齟齬の発生原因の要因の発見 折り返し翻訳の精度確認手法としての妥当性の検証を行った結果,対象言語翻訳文が不正確であるにもかかわらず,折り返し翻訳文が正確であるという状況が発生することがわかった,これは,意思疎通を困難にする可能性が高く,不一致が発生した際の対応が必要となる.そこで精度不一致が発生した文についての分析し,発生要因として,6種類の要因があることを発見した. 2.不正確情報の提示がユーザに及ぼす影響分析 正しい精度(本来の精度)を提示した場合,提示した精度との一致率が最も高くなり,隣接した評価値を既判定精度として提示した場合,本来よりも高い隣接評価値との一致率の方が,本来よりも低い隣接評価値との一致率よりも高い傾向があることを明らかにした. 3.Web上から精度の高い用例の抽出 Web検索を利用して,用例作成の際に手がかりとなる用例の収集の可能性について,特に「人が想起しにくい用例」を検索する手法の構築し,評価した.本手法を用いることで,約26%の割合で「そのまま使用できる用例」をWeb上から抽出できた.また,約91%の割合で「用例を作成する手がかりとなる用例」をWeb上から抽出できた、特に,本手法を用いることで,想起しにくい用例を抽出できることを示した. 4.翻訳リペア作業におけるルール提示の効果 ユーザが効率よく翻訳リペア作業をするためには,ある程度の書き換え方針やルールが必要である.そこで,被験者が手動で日本語の書き換えを行い,翻訳結果に与える影響について検証した.その結果,分かち書きのスペース,単語の簡略化,情報の欠落が翻訳結果に影響を及ぼしている可能性を明らかにした.また,従来の折り返し翻訳よりもコストが掛かることを明らかにした.今後,ルール提示の高精度化に対して,この結果を応用する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,下記の5つの課題を挙げていた.研究課題5の「価値創出の体系化」以外の部分については,これまでの2年間で成果を出している,「価値創出の体系化」については,最終年度の課題として取り組む. 研究課題1:Web上のデータを用いたフィルタリング手法の研究 研究課題2:コミュニケーションプロセスの分析とユーザインタフェースの研究 研究課題3:データ収集と推薦手法の研究 研究課題4:Web上のデータを用いた多言語のフィルタリング手法の研究AbO 研究課題5:システム公開と価値創出の体系化
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今後の研究の推進方策 |
各研究課題とも,おおむね順調に進展している.最終年度は,各課題のそれぞれの精度向上を「価値創出の体系化」を行う. 精度向上に関しては,それぞれの課題において,手法はある程度確立しているが,今後は,利用言語数の拡充に加え,精度が向上しない部分に関する調整やデータ蓄積よる手法の改良を行うことを考えている.
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