研究概要 |
研究項目(A)「モバイル型機器向けの幾何位置合わせ手法の検討」に関しては,ランドマークDBを実際にトラッキングサーバ上に構築し,モバイル機器(iPad2)と連携して位置姿勢が検出可能であることを確認した.これまでの屋内での実験に加え,屋外での実験を試み,限定された領域では位置姿勢が検出可能であることを確認した.また,位置姿勢検出における初期位置を同定するための手法として,環境に美観を損ねない目立ちにくいマーカを貼付することでその位置を検出するSFINCSマーカについての検討を進めた.SFINCSマーカについては,SFINCS-TTと呼ぶ設置面と同系色の小型マーカを使用した方式と,SFINCS-PMと呼ぶポスタを利用したマーカについて検討した.前者について,これまでPCで実装してきたアルゴリズムをスマートフォン向け(Android向け)に軽量化し,動作確認を行った.マーカ認識のアルゴリズムを改良することで複合現実感システムとして違和感を感じない程度の描画速度が確保できることを確認した.また,ID符号体系と誤り検出・訂正手法を考案し,これを論文としてまとめた. 研究項目(B)「モバイルMR システムのための汎用フレームワークの設計と実現」に関しては,これまでに提案してきたモバイル型MR システムを構築するためのフレームワークを改良し,スマートフォンなどのモバイル端末への対応を本格化した.コンテンツの制御方式として新たに物理演算エンジンを導入し,より複雑のオブジェクトの制御が可能となる仕組みを実現した.さらに,フレームワークの発展形として,複数のサーバによる分散処理型フレームワークやP2P型のフレームワークの設計を行った.また,ランドマークDBの転送機構に関しては,通信容量が確保できないという問題が発生したため,ブロックごとに分割したデータを,優先順位をつけて転送する機構を導入した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究項目(A)については,精度検証を除いてほぼ順調に進展している.また,研究項目(B)については,これまでのフレームワークを改良してより複雑のオブジェクト制御が可能なシステムへと発展させると同時に,新たなフレームワークの設計論が考案できている.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画について大きな変更はない.今年度は,手法やシステムの改良に加えて,位置合わせの精度についての評価を行い,有用性について議論を深める.また,今年度からは新たにこれまでに実現したシステムを用いた試作アプリケーションの制作に取り掛かり,実用面での問題点を明らかにしていく予定である.
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