研究課題/領域番号 |
22300046
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
柴田 史久 立命館大学, 情報理工学部, 准教授 (80314425)
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研究分担者 |
田村 秀行 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (10367998)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 複合現実感 / 幾何位置合わせ / 可搬型機器 / バーチャルリアリティ |
研究概要 |
研究項目(A)「モバイル型機器向けの幾何位置合わせ手法の検討」に関しては,昨年度に引き続きランドマークDBを実際にトラッキングサーバ上に構築し,モバイル機器(iPad2)の位置姿勢検出精度について計測した.また,モバイル機器におけるトラッキング精度の向上を目指して,モバイル機器に搭載されたジャイロから得られる情報を利用するアルゴリズムについて検討した.さらに新たな研究の展開として,既存のマーカを利用した位置合わせ手法(ARToolKit)や,昨年度に開発した手法(SFINCSマーカ)および前述のランドマークDBを用いて,モバイル機器がおかれた状況に応じて位置合わせ手法を切り替える機構について検討した. 研究項目(B)「モバイルMR システムのための汎用フレームワークの設計と実現」に関しては,屋外での通信帯域が狭いことを想定して,ランドマークDBを分割して転送するプログレッシブダウンロード方式について,設計および実装を行った.また,提案フレームワークの発展形として,P2P型のフレームワークの設計と実装を行い,その性能について調査した.これまでのサーバ・クライアント型のフレームワーク場合,ユーザからの入力に対する処理がサーバで実行されるため,入力に対する遅延が不可避であったが,少数のモバイル機器間で構成したP2P型であれば,遅延を軽減させ,より応答性のよいシステムが構築可能であることが分かった.また,新たな研究として,ユーザの視点とモバイル機器との間の位置関係を考慮した複合現実型情報提示についても検討した. 研究項目(C)については,試作アプリケーションとして,屋内における箱詰め作業を支援するアプリケーションを設計し,そのプロトタイプを実装した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究項目(A)については,当初の計画通りおおむね順調に進んでいる上に,新たな研究の展開として,複数の位置合わせ手法をモバイル機器がおかれた状況に応じて切り替えるという新たな枠組みを考案し,検討を進めることができたため計画以上に進展しているといえる.また,研究項目(B)については,これまでのサーバ・クライアント方式に加えて,P2P型のフレームワークを新たに設計し,その性能について検討できたため,こちらも良好であるといえる.研究項目(C)については,新たな試作アプリケーションのプロトタイプを実装できたため,当初計画通りといえる.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,研究をさらに発展させ,より広範囲において位置合わせを実現するために,自然特徴点に関する事前知識が存在しない領域に対して,リアルタイムに自然特徴点情報を追加,蓄積する機構について検討する.また,自然特徴点を利用した幾何位置合わせの新たな手法として,大量の特徴点を使ったポイントクラウドによる位置合わせ手法について検討する.さらに,昨年度実装した試作アプリケーションを発展させ,実用面での問題点を明らかにしていく予定である.
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