研究課題
本研究の目的はクラウドソーシング型問題解決のためのメカニズムデザイン理論の確立である.平成24年度には,以下の成果を得た.まず,(1) 逐次参加型m票先取投票方式における戦略行動の分析を行った.投票はクラウドソーシングにおける意見集約法の一つとして重要である.本研究では,意思決定の質の向上と意思決定にかかる費用の削減を両立させる方法としてm票先取方式を提案してきている.しかし,これまでの分析では,投票者の投票順が外生的に与えられると仮定しており,投票状況を観察するために投票を遅延するといった戦略的行動を考慮していなかった.この課題に対し,各投票者の効用を分析することで,m票先取方式が投票順序に関する戦略的行動の影響をあまり受けないことを明らかにした.この結果を情報処理学会論文誌で発表した.つぎに,(2) グループ分割によるコンペ型クラウドソーシング制御法を開発した.プロジェクト型と並び,コンペ型もクラウドソーシングの主要なフォーマットの一つであり,その実施方法の確立は重要な課題である.報酬設定による制御も一つの方法であるが,市場価格といったものが存在するため,その適用範囲はある程度限られる.そこで,本研究では組織論的観点から,請負者をグループに分けて,グループ内で競わせることで,全体の問題処理効率を向上させることを考えた.ここで課題となるのはグループ分けの方法である.本研究では,請負者の能力に応じて高スキル請負者グループと低スキル請負者のグループを作る場合と,能力に依らずランダムに請負者をグループ分けする場合とを比較し,後者の方が全体としての問題処理効率が向上することを示した.この結果を知的エージェント技術に関する国際会議IAT-2012で発表した.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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情報処理学会論文誌
巻: Vol. 53, No. 11 ページ: 2457-2465