研究概要 |
本研究の目的は、大規模特定物体認識の技術を洗練化するとともに、それを用いて実世界指向Webを実現することである。実世界指向Webとは、実世界の物体を撮影することにより、あたかも実世界の物体をクリックしているように関連情報を得るシステムを言う。本年度は上記の目的を満たすべく基礎的研究を行い、以下の実績を得た。 (1)特定物体認識(平面物体):500万画像のデータベースを用いて認識システムを構築し、認識率78.9%,処理時間1.8秒/queryを達成した。 (2)特定物体認識(3次元物体):1003物体のデータベースを構築し、Bloomerフィルタと呼ばれる確率的ハッシュ表によって99.5%の精度で認識できることを示した。 (3)特定物体認識(複雑背景下):複雑背景下でも認識が可能な手法としてスーパーピクセルと参照点を用いる手法を考案し、有効性を検証した。 (3)文書画像検索:1000万ページのデータベースを構築し、正解検索率99.4%,処理時間38ms/queryを達成した。 (4)線画検索:1.1万ページの漫画データベースを構築し、部分的複製を検索できる手法を考案、実験により検証した。 (5)花画像認識:形状情報と色情報など多種類の情報をMKLと呼ばれる手法で統合することにより、17種類の花を識別する手法を考案した。 (6)動作に基づく物体認識:人間の動作に基づいて物体を認識する手法を考案し、椅子や戸棚などの物体が識別できることを示した。 (7)情景中の文字認識:局所特徴量を用いて複雑背景下の漢字が認識できることを示した。 (8)近似最近傍探索:最近傍の候補になるデータを複製することにより従来法であるLSHの精度を大幅に改善する手法などを考案、実験により有効性を検証した。
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