研究概要 |
最小分類誤り(MCE : Minimum Classification Error)学習法の性能限界の追及を目指し,大幾何マージンMCE(LGM-MCE : Large Geometric Margin MCE)学習法や増加型MCE(IMCE : Incremental MCE)学習法の性能調査とサポートベクターマシン(SVM : Support Vector Machine)との比較調査等を重点的に行った. その結果,LGM-MCE法が,従来型MCE法に対しても(特にスケーラビリティの観点で)SVM法に対しても優位であることが明らかとなった.また,これまではオリジナルのパターンベクトル空間でしか扱うことができなかった幾何マージンの増大化を,核関数写像を用いた高次元空間においても可能とする新しいMCE法の定式化を得ることができた. これまで経験的にしか設定することができなかった平滑化分類誤り数損失の平滑度をデータに基づいて自動的に設定する手法を提案し,その基本的有効性を確認した.この成果は,1次元誤分類尺度空間と高次元パターン標本空間とにおける仮想標本の関係を記述するための定式化の開発にもつながり,未知標本耐性の分析に対する新しいアプローチを築くに至っている.また,大域的最小状態のみを持つ損失を用いたラウンドロビンデュエル識別法による音声認識の研究において,その高い未知標本耐性を確認した.これらの成果は,究極の未知標本耐性の実現を目指す今後の研究の重要なステップを構成するものである. IMCE法に関しては,異なる損失型を用いる既存手法よりも高い分類性能を発揮できることを実証した.増加型学習におけるMCE法の有効性をも示すことができたものと考えられる.
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