本年度の主な目的は目標志向の感性的意思決定分析における情報統合化手法の応用と検証であった。消費者が商品を選択するとき、商品に関する様々な属性に関する要望を持っている。本研究ではそれらを物理、感性及び文脈属性に分類し、消費者の要望を情報として取り扱う。本年度は、サイズや価格といった物理情報、かわいらしい等の感性情報、そして製品の用途等の文脈情報を統一的に扱う方法を検討し、さらに情報の優先度を考慮した新しい手法を開発し、これまでに収集していた伝統工芸品に対する評価データを用いて手法の有効性を確認した。これらを国際会議で発表するとともに、国際ジャーナルに投稿した。 次年度以降にかけての目的である情報統合化オペレータの感度分析、文脈情報を考慮した感性評価モデリング、及び推薦システムの設計に関しては、それぞれ国際ジャーナルに投稿したが、まだ研究課題は残っており引き続き研究を実施する。また、これらの方法を検証するための新しいデータを収集するために感性評価実験を実施し、専門家と一般消費者の間で感性評価に有意な差があるかどうか等のデータ分析に基づいて、推薦システムにおいて利用すべき属性を検討した。さらに、最終目的である目標志向の感性的意思決定分析の方法論の確立に関しては、本年度は初期段階のものを構築し精緻化を続けている。この方法論の基礎となるものとして研究代表者を中心に開発した知識構成システム論については国際ジャーナルに投稿するとともに、国際学会の招待公演等において公表した。
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