研究課題/領域番号 |
22300074
|
研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
中森 義輝 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 教授 (30148598)
|
研究分担者 |
ヒュン ナム・ヤン 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 准教授 (00362020)
|
キーワード | 意思決定分析 / 感性情報 / 文脈情報 / 情報統合化 / 推薦システム |
研究概要 |
本年度は、感性評価実験データの注意深い分析を重点的に実施した。これは、伝統工芸に係わる評価者あるいは詳しい評価者と一般消費者との間で、感性評価に食い違いがみられることが明らかになったからである。実際、感性評価値とデザイン要素の関係を考察すると、伝統工芸の熟知者と一般者では評価する際に着目するデザイン要素が異なる可能性が発見された。また、伝統的か現代的かというような評価では一般者の意見は割れる傾向にあるなど、知識量の差が感性評価に影響を与える。これらのことを論文として整理し投稿中であるが、商品推薦システム設計の際には、物理、感性及び文脈属性を適切に注意深く選択・決定する必要がある。 本研究の当初計画であった「多様な情報の統合化手法の応用と検証」「統合化オペレータの振る舞いの分析」「文脈情報を考慮した意思決定分析の理論化(階層的モデリング)」に関して本年度までに実用レベルに達したと判断し、今後は、これらに基づいた推薦システムの開発に重点を移していく。ここで、「大きい」「高価な」などの物理属性によって絞り込んだ商品を、「可愛い」「重厚な」などの感性属性、あるいは「若者向き」「贈答用」などの文脈属性によって、さらに商品を絞っていくという階層的モデリングも検討したが、結論として、物理、感性及び文脈情報が混在する意思決定分析の統一的アプローチを提案することとなった。 上記に関連して、様々な希望属性という情報を統合化する手法がいくつか提案されているが、本研究においてはそれらを比較検討するシミュレータを開発し、上記提案手法を含めて、次年度においてシミュレーションを繰り返して有効性を検証していく。その結果を受けて、感性情報と文脈情報を考慮した推薦システムの開発、知識構成システム論の考え方を取り入れた目標志向の感性的意思決定分析の方法論の確立を目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、感性的希望を含む様々な希望を統合して商品を推薦する手法の開発がメインテーマであるが、この理論的な部分はこれまでの2年間でほぼ完成できた。今後はシミュレーションを繰り返して有効性を実証する必要がある。これに基づいて、当初の計画であった「感性情報と文脈情報を考慮した推薦システムの開発」「目標志向の感性的意思決定分析の方法論の確立」は時間的な余裕をもって研究推進ができると確信する。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究で開発した手法以外にも、様々な希望属性という情報を統合化する手法がいくつか提案されている。本研究においてはそれらを比較検討するシミュレータを開発し、提案手法を含めて、次年度においてシミュレーションを繰り返して有効性を検証していく。その結果を受けて、感性情報と文脈情報を考慮した推薦システムの開発、知識構成システム論の考え方を取り入れた目標志向の感性的意思決定分析の方法論の確立を目指す。
|