研究課題/領域番号 |
22300075
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
上條 正義 信州大学, 総合工学系研究科, 教授 (70224665)
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研究分担者 |
吉田 宏昭 信州大学, 繊維学部, 准教授 (40456497)
堀場 洋輔 信州大学, 繊維学部, 助教 (00345761)
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キーワード | 感性計測 / 触り心地 / 快適感 / ストレス評価 / 生理心理反応 / 肌触り / 手触り / 風合い |
研究概要 |
タオルのようなパイル生地や毛皮のように厚みのある被服材料の接触感については、ふかふか感、弾力感、毛さばき感、毛込み感など、独特な接触感覚を人は感じる。これを評価する評価指標がなく、評価装置も世の中に存在していない。これらの接触感は、人の印象や生理反応に対してポジティブな反応をもたらす可能性がある刺激に基づくものであり、快適を接触的に評価する方法についても、これまでほとんど研究されていない。本研究では、人の接触快適感を評価するための方法を構築することを目的として本年度は、以下の課題を実施した。(1)パイルの長さを変えたタオルを作製し、パイルの長さに伴って異なる接触感を官能評価し、フカフカ感、嵩高感を人が評価している際の行動分析からこれを誘発するための要因について調査した。その結果から評価方法として一案を考察した。(2)温熱快適感に優れた肌着を作製するために様々な繊維による糸を作製し、その糸による編地の材料特性から温熱快適感に優れるサンプルを選定した。(3)接触ストレスの評価方法として、生理反応の測定による方法を構築するため、各種タオル生地や不織布を作製し、これら風合いが異なる生地を皮膚に呈示することによって人が感じる接触感を生理反応の違いから評価する実験を行った。生地を呈示している際の心電図、呼吸、末梢血流などの自律神経系の生理活動の測定やNIRSによって脳中枢の活動についての測定実験を実施し、各条件におけるデータを採取した。(4)不織布をサンプルとして、肌触りにおける接触快適感を知覚している際の脳活動をNIRSで測定し、接触快適感を脳活動から評価できるかの可能性を調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ムートンを試料として実施した実験において、これまで評価方法が無かった弾力感、毛込み感を評価するための評価指標を求め、装置の試作に成功した。温度と湿度の環境に対して順応を繰り返しながら知覚する温熱的中立温度湿度条件や不快環境について、実験的に求め、従来、文献から推定されていた着衣温熱環境についての快適条件を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
接触快適感についてのこれまでの研究は、ストレスの有無、特に不快状態の程度を評価する研究がほとんどであったが、本研究では、不快状態だけでなく、快適状態についても評価するための方法を検討する。これまでは、ムートンやタオル生地を用いてきたが、今後も、接触快適感を誘発する可能性のある繊維製品を対象にして、その快適感を評価するための計測方法を検討する。この際、快適に関する刺激の呈示について、そのレベルを変えた刺激を設定することが難しいことから、刺激については、多種多様なものを選定し実験を行う。また、快適か否かについては、心理評価についての結果に基づいて、程度の違いを分類して生理反応のデータの集計を行い、計測評価方ほとしての有用性について検証する。
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