研究概要 |
平成22年度は,統計的性能評価手法を統計的学習理論の基本的モデルのひとつである隠れマルコフモデルに拡張するアルゴリズムの開発実装をおこなった.また,期待値最大化(Expectation Maximization: EM)アルゴリズムによる統計的機械学習アルゴリズムの実装と試験的数値計算を海外研究協力者であるD.M Titterington教授(英国グラスゴー大学)との電子メールによる研究打合せを通しての助言を受けながら進めた.その成果の一部は平成22年12月にアドコムメディア社から出版された「--CVIMチュートリアルシリーズ--コンピュータビジョン最先端ガイド3」のなかで「第6章.大規模確率場と確率的画像処理の深化と展開」を分担執筆し,その中で公開している.更に拡張された量子隠れマルコフモデルからデータを生成する量子モンテカルロ法の定式化を行い,具体的にデータを生成するアルゴリズムの開発・実装を連携研究者津田宏治主任研究員(産業技術総合研究所)からの助言を受けながらすすめ,生成されたデータのヒストグラムからモデルの妥当性を確認するための数値実験の準備をすすめた.研究分担者の井上純一准教授(北海道大学)は量子確率場モデルにおけるデータ生成過程の統計的解析手法の定式化に成功した.現在,これを量子力学的データマイニングに転用する準備をすすめている.近年,確率伝搬法の拡張の一つとして注目されている感受率伝搬法のスピングラス理論の1RSBとTAP方程式の立場からの拡張を行っている.この拡張は量子力学的に拡張された隠れマルコフモデルへの拡張も視野にいれて行われた.また,平成23年3月に実施する予定であったD.M.Titterington教授との研究打ち合わせは,東日本大震災の影響により,延期を余儀なくされ,直接経費の一部の平成23年4月以降への繰越しを行い,平成23年8月に改めて研究代表者がグラスゴー大学を訪問し,統計的機械学習理論の量子ラベリングへの拡張によるアルゴリズムについての助言を受けた.
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