研究課題/領域番号 |
22300082
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
久保田 直行 首都大学東京, システムデザイン研究科, 准教授 (30298799)
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研究分担者 |
新田 収 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (80279778)
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キーワード | ファジィ理論 / 福祉・介護用ロボット / 姿勢計測 / リハビリテーション支援 |
研究概要 |
本研究は,「研究実施計画」に基づき大きく分けて以下の4つの研究項目に分けられる。 (1)モニタリングシステムの開発 (2)状態推定システムの構築 (3)リハビリテーション支援システムの開発 (4)リハビリテーション支援システムの評価 平成23年度は,以上の項目のうち、主に研究項目(1)および(2)を実施するとともに、高次脳機能障害の一つである半側空間無視の患者を対象として研究項目(4)となるリハビリテーション支援システムの評価を行った。また、研究項目(3)では、試作機としてアーム型ロボットを開発し予備実験を行った。 まず,(1)モニタリングシステムの開発では、Microsoft社の開発したKinectを適用することで患者の姿勢計測を実現した。半側空間無視の患者は、健側に姿勢が傾く傾向があるため、姿勢の計測が診断の一つの指針となる。これにより、リハビリテーション中の注意方向や運動中の体の動かし方などが把握可能になった。次に、(2)状態推定システムの構築では、患者の認識範囲を定量的に推定するための試験システムの開発を行った。ここでは、Apple社のiPadなどのタブレットPCを用い、患者に画面の左右両端から逆側へ動くランダムに出てくる円形のマークを追ってもらうことで認識範囲を推定する手法を提案した。実証実験の結果、無視範囲を特定することができる半面、試行回数を減らすための方法の開発や、引き続き、多くの実証実験を行うことにより、提案システムの有効性を検討する必要があるなどの課題が明らかになった。一方で、適用可能性に関して、ボールを追視することによる即時的なリハビリテーション効果が確認できた。また、リハビリテーション支援システムの開発では、システムそのものの低価格化を見据え、アーム型ロボットの試作機を開発し、予備実験として動作制御実験を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、4つの研究項目を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
リハビリテーション支援システムの研究開発において、理学療法士らとの議論や病院や施設での実証実験を繰り返すことにより、現場で抱えている問題点の再認識ができ、半側空間無視に関する計測の他、姿勢計測に関する具体的な研究の方向性を策定することができた。また、問題点として、半側空間無理領域を特定するための患者への負担軽減を行う必要があることがあげられ、来年度は、試行回数を削減することができる新しい推定方法を提案する予定である。さらに、現場での実証実験をさらに行いながら、リハビリテーションにおけるパートナーロボットの適用可能性を議論しつつ、ソフトコンピューティングを用いた新しい対話的状態推定方法を提案していく予定である。
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