研究課題/領域番号 |
22300094
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
青嶋 誠 筑波大学, 数理物質系, 教授 (90246679)
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研究分担者 |
赤平 昌文 筑波大学, 副学長 (70017424)
小池 健一 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90260471)
矢田 和善 筑波大学, 数理物質系, 助教 (90585803)
佐藤 美佳 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60269214)
大谷内 奈穂 筑波大学, 数理物質系, 助教 (40375374)
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キーワード | 高次元データ / グラフィカルモデル / パスウェイ解析 / クロスデータ行列法 / パターン認識 / 多重検定 / 漸近正規性 / 標本数 |
研究概要 |
青嶋と矢田は、高次元データの様々な統計的推測について、特徴量の不偏推定量を統一的に与えるための方法論として「拡張クロスデータ行列法」を考案した。高次元データの相関係数ベクトルの検定に応用して、各種特徴量の不偏推定量にについて検定統計量を構築し、高次元における漸近正規性を証明した。また、拡張クロスデータ行列法によって与えられる不偏推定量が、母集団分布にガウス性の条件を課して得られる先行研究の不偏推定量と、同等の漸近分散を有することを証明した。なお、先行研究の不偏推定量はガウス性の仮定が崩れると不偏性をもたず、分散は有界にさえならない。それに対して、拡張クロスデータ行列法で与えられる不偏推定量は、分布の仮定に依らず、常に不偏性を有し漸近分散を保証する。検定統計量の漸近正規性にについて、有意水準と検出力を漸近的に目標値に近づけるための標本数を推定して、検定の精度保証を理論的に証明した。さらに、高次元データに対する多重検定の理論も構築した。 青嶋と矢田は、高次元データのパターン認識について、kクラスの分類問題を考えた。高次元において誤分類率がゼロになることを理論的に保証する、極めて単純な判別方式を考案した。 赤平と大谷内は、切断指数型分布族における関心のある母数の最尤推定量を研究し、局外母数を既知とした場合と未知とした場合に、漸近正規性を漸近展開によって証明した。 小池は、ベイズ推測における事前分布の情報量を、標本数に換算するための基準を研究し、それが先行研究の問題点に解決策を与えることを示した。 佐藤は、高次元データの分類手法を研究し、分類の不確定性を積極的に認める方法として知られているファジィクラスタリング手法に注目し、高次元データに滴用するための方法を提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
交付申請書に記載した研究目的を達成している。その上で区分(1)である理由は、「拡張クロスデータ行列法」の考案にある。高次元データに対して非現実的なガウス性を仮定して得られた先行研究の推定法を根底から覆し、ガウス性を仮定せずに合理的な推定を与える本方法論は、今後、この研究領域の発展に波及効果が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の1年目に考案した「クロスデータ行列法」、そして、2年目の本年度にそのアイデアを拡張し考案した「拡張クロスデータ行列法」は、ノンパラメトリックな方法論である。それゆえ、非現実的な条件を課すことなく、高次元データの推測に適した理論を構築するための基本統計量を与えてくれる。応用範囲は極めて広いため、今後の研究は、本方法論を基礎に推進する。
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