研究課題/領域番号 |
22300094
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
青嶋 誠 筑波大学, 数理物質系, 教授 (90246679)
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研究分担者 |
矢田 和善 筑波大学, 数理物質系, 助教 (90585803)
赤平 昌文 筑波大学, 副学長 (70017424)
イリチュ 美佳(佐藤美佳) 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60269214)
小池 健一 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90260471)
大谷内 奈穂 筑波大学, 数理物質系, 助教 (40375374)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高次元データ解析 / 判別分析 / 主成分分析 / 相関検定 / クロスデータ行列法 / マイクロアレイデータ / 幾何学的表現 / 標本数決定 |
研究概要 |
青嶋と矢田は、Aoshima and Yata (2011)で考案した高次元データの幾何学的表現に基づく判別分析の一致性を証明した。相似な機能をもった遺伝子など、高次元データにおいて相関が高い変数をグループにして抽出する変数選択を考え、相関係数ベクトルに関する多重検定を構築した。Yata and Aoshima (2010)のクロスデータ行列法を精度に関して漸近最適化した拡張クロスデータ行列法を開発した。ノンパラメトリックな設定で推測の精度を保証するための標本数の決定法を与えた。研究成果は、2012年6月にイスラエルで開催された「International Workshop on Applied Probability」での招待講演や、9月に行った日本統計学会研究業績賞受賞講演などで発表した。また、2012年7月に開催した「IMS Asia Pacific Rim Meetings」と、2013年3月に開催した日本統計学会春季集会において、研究課題に関する特別セッションを企画し、研究成果の発表と情報交換の場とした。 赤平と大谷内は、密度関数の両端点での高さが異なる非正則な場合について、極値統計量からなる荷重推定量の情報量損失を研究した。佐藤は、多次元のデータを低次元空間で説明するために、データに予め与えられた分類構造を用いる方法と、データから探索的に得られる分類結果を用いる方法を提案した。小池は、Bayesリスクに対する情報不等式について、従来の下界を改良した。 なお、研究課題に関する実績は、次の3つの受賞に結びついた。 青嶋 誠:筑波大学 Best Faculty Member Award (2013年) 青嶋 誠・矢田和善:日本統計学会研究業績賞 (2012年) 青嶋 誠・矢田和善:Abraham Wald Prize in Sequential Analysis (2012年)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
交付申請書に記載した研究目的を達成している。その上で区分①である理由は、「拡張クロスデータ行列法」の考案にある。従来の推定法は、高次元データに対して非現実的ともいえるガウス性を仮定することで成立する。拡張クロスデータ行列法は、従来の推定法を根底から覆し、ガウス性を仮定することなく合理的な推定を極めて低い計算コストで実現できる。拡張クロスデータ行列法の利用は、今後、本研究領域の発展と周辺領域への波及効果に多大なインパクトが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の1年目に考案した「クロスデータ行列法」、そして、2年目に拡張を遂げ、3年目に精度に関する漸近最適性が証明された「拡張クロスデータ行列法」は、ノンパラメトリックな推定法である。それにも拘らず、高次元データ解析で難所となる大規模計算を必要としない革新的な方法論である。拡張クロスデータ行列法の漸近最適理論は、まだまだ奥深く、応用範囲は極めて広いと考えられる。今後の研究は、本方法論を基礎に推進する。
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