研究課題
本研究は、1.タンパク質の適応進化の推定、2.集団遺伝と系統地理、3.発現プロファイル・SNP データの解析を3つの柱として、急速に充実してきている時空間情報を利用した統計遺伝学モデルの開発を行うことを目的とした。1では、非同義・同義置換速度比ωで規定されるマルコフモデルで遺伝子配列データの尤度を表現する。ωについて多様化圧・中立・純化圧の3状態を仮定し、イジングモデルにより状態の空間集積性を表現する事前分布を構築した。熱力学的積分で得られた周辺尤度を最大化することにより、状態の空間集積性の強さを求める方法を開発し、インフルエンザHAで妥当性を検証した。2では世界中からサンプリングされた熱帯熱マラリアについて、遺伝的多様度の空間分布を分析した。アフリカからの距離に応じて遺伝的多様度が減衰するパターンを離接局所集団への移住と局所集団のロジスティック成長からなる飛び石モデルで説明し、近似ベイズ計算により宿主であるヒトの伝搬に伴いマラリアが生息域を広げる速度、局所集団の環境収容量を推定した。3では自閉症のケースコントロール研究における稀なコピー数多型を分析した。遺伝子ネットワーク上の連結部分グラフとその補集合のリスクの有意差を表現する統計量を開発し、これを最大化させることで、有意に関連する連結部分グラフを抽出する方法を開発した。これらは前年度までにほぼ完成し、論文化も進められてきていたが、本年度は計算負荷の高い課題1において並列化計算で周辺尤度の信頼性を確認し、論文化を進めた。また課題3では、表現型の節を核に最大エントロピー法により極大連結グラフを構成するという着想を得た。これらの成果は、本年8月に香港で開催される第59回世界統計会議(WSC2013)の招待論文セッション「The diversity of biometry(生物統計学の多様性)」で報告する予定である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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